【第89回】福井県南越前町で住民の命を守った避難スイッチ
質問 9月17日のシンポジウムでは、令和4年8月豪雨での福井県南越前町での被災の状況について説明があったんですか。
概要
①酒井明子福井大学名誉教授より福井県南越前町の被害状況等について報告
②河川が氾濫し、複数の地区が孤立
③河川の水位をスイッチにコミュニティ全体が早期避難し、住民全員の命を守った
④シンポジウムの詳細は地区防災計画学会誌第25号(11月発刊予定)掲載
解説
①酒井明子福井大学名誉教授より福井県南越前町の被害状況等について報告
2022年9月17日(土)の地区防災計画学会シンポジウム「コロナ禍におけるコミュニティの複合災害」では、看護学が御専門の酒井明子先生(福井大学名誉教授)が、冒頭、シンポジストの一人として、「令和4年8月豪雨災害コミュニティの維持とコミュニティの破壊」と題して、福井県南越前町の被災状況等について報告しました。
この御報告は、大変注目度が高かったのですが、冒頭聞き逃した方もいたそうですので、以下、ごく簡単にですが、概要を御紹介いたします。
②河川が氾濫し、複数の地区が孤立
南越前町では、8月5日に、大雨によって、鹿蒜(かひる)川、河野川等が氾濫し、複数の地区が孤立しました。
そのため、災害派遣で派遣された自衛隊等の助けによって、ゴムボート等で避難をすることになりました。
また、各地区で土砂崩れ等が発生し、4日間にわたり、町内が南北に分断されるような状況になりました。
そして、断水が発生したほか、建物の全壊・半壊、床上浸水・床下浸水等の被害が出ました。
③河川の水位をスイッチにコミュニティ全体が早期避難し、住民全員の命を守った
酒井先生は、学生さんとともに、道路が寸断されている中で、徒歩で沢等を通って被災地区に健康チェック等の支援のために入られています。
これらの地区では、河川に地区で決めた水位のラインがあり、それをコミュニティの避難のスイッチとして、住民たちが自ら判断して、誘い合って早期に避難を行ったことから、住民全員の命を守ることができました。
コロナ禍での被災地での対応は大変で、発熱外来・平常診療で多忙な中、医師・看護師からも感染者が出て人手不足となっているほか、住民の方も片付け中に感染され、活動を自粛しなければならない等厳しい環境の中で、感染を警戒しつつ対応に当たられています。
なお、南越前町のいくつかの地区では、被災経験を受けて、地区防災計画づくりの検討が行われているようです。
④シンポジウムの詳細は地区防災計画学会誌第25号(11月発刊予定)掲載
シンポジウムでは、酒井先生をはじめとするシンポジスト5人の報告を受けて、パネルディスカッションが開催され、活発な議論が行われました。
その模様は、地区防災計画学会誌第25号に印象記として掲載されています。なお、地区防災計画学会誌を入手御希望の方は、下記記事を御覧ください。
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