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【第141回】研究分析プロジェクト報告の特徴


質問 地区防災計画づくりに係る俯瞰的な研究分析プロジェクトの報告の特徴について教えてください。

概要

 ①Yahoo!基金の助成を受けた地区防災計画づくりに係る俯瞰的な研究分析プロジェクト
 ➁プロジェクトの報告の特徴

解説

①Yahoo!基金の助成を受けた地区防災計画づくりに係る俯瞰的な研究分析プロジェクト

 今年度は、地区防災計画の「地区防災計画づくりに係る俯瞰的な研究分析プロジェクト」が、Yahoo!基金の「2023年度防災減災活動支援助成プログラム」に、採択されました。
 本プロジェクトは、「住民の生命・財産を守るための地区防災計画づくりに係る俯瞰的な研究分析及びフィールドワーク」をテーマに、これまでの地区防災計画モデル事業の対象地区をはじめとする地区防災計画づくりの現場での取組等について、調査や取りまとめを行い、学会としての俯瞰的な研究分析を行うことを目的としていました。

➁プロジェクトの報告の特徴 

 23年9月31日付でまとめられたプロジェクトの報告では、新たに収集された質的データを活用しつつ、過去の量的調査の分析も踏まえ、コミュニティの現場での地区防災計画づくりの促進に効果を発揮する手法やその課題を明らかにしようとしています。
 本助成に基づく活動により、例えば、マンションのコミュニティの現場での地区防災計画づくりを促進することによって、自然災害発生時に被害を発生させないための事前防災、被害を最小限に抑える応急活動、被災後の迅速な復旧・復興活動を適切に進めるための手法が明らかになりました。
 特に、比較的新しいマンションのコミュニティにおいても、防災とは全く関係がなさそうな「祭り(イベント)」を通じて、人間関係を構築し、マンションのコミュニティの防災活動の強化を図っている最新の事例分析にも取り組んでいます。
 なお、本報告については、24年3月に発刊される地区防災計画学会誌第28号及び地区防災計画学会第10回大会(24年3月2日(土)開催)で発表される予定です。
 これらの活動によって得られた成果を学術研究団体での報告や学会誌での公表を通じて、広く横展開することで、コミュニティでの住民を主体とする自発的・内発的な減災・防災活動を推進し、発災時に多くの住民の生命や財産を守ることができる可能性があると思われます。
 全国のコミュニティの現場で地区防災計画づくりが進んでいますが、コミュニティの現場では、多様な壁(問題)があり、望んでもうまくいかない場合もあります。そのような中で、今回の活動を通じて、過去の地区防災計画モデル事業等で得られた知見もあわせて整理をし、理念型(モデル)とすることで、うまくいかないコミュニティにおいて課題を克服する方法のヒントを探すことができる可能性があります。これは、科学的な手法に基づく、学術的にも社会実装的にも意味のあるものであり、今後の地区防災計画づくりの普及や、全国的な地域防災力の底上げにつながるものと思われます。

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