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ドラマ「インフルエンス」

(ネタバレあり)

「インフルエンス」は、近藤史恵のミステリー小説で、去年ドラマ化された作品です。ドラマの出演者で「鈴木保奈美」の名前を見つけて、このドラマを見始めましたが、ストーリーは鈴木保奈美演じる小説家のトモミと大塚寧々演じる友梨が過去に遡り、女優の橋本環奈、葵わかな、吉川愛が学生時代から20代を演じ、三人の友情と絆を描いています。

実は、このドラマを観る前に、近藤史恵のことを知りませんでした。他のドラマ化された作品と言ったら、去年の「シェフは名探偵」(主演:西島秀俊)しか観たことがありませんでした。この「インフルエンス」を観たら、強く湊かなえの作品の感じがします。湊かなえの「Nのために」や「夜行観覧車」と同様、「インフルエンス」も役がお互いに助け合い、秘密を守っているというストーリーです。その秘密も、「殺人」という究極の秘密なのです。でも、殺人動機と言ったら、「インフルエンス」の方は、より女性の犯罪被害に重点を置いています。夜間の誘拐、家族のセクハラ、旦那のDV、全部ニュースでよく目にする女性が被害者の犯罪です。このドラマを観ると、誰かが殺人してでも相手を守りたいということに対して、多少同情の気持ちが湧き、女性同士の絆が理解できるようになります。

「交換殺人」なら警察が事件を解決しづらくなるとはミステリーの常識です。それで、「インフルエンス」で最終的にいろんな事件を「終わりにしよう」と言うのは、警察ではなく、橋本環奈が演じる友梨です。相手を守るために、人を殺して、出頭し、服役して、結局がんの病気にかかってなくなる友梨の境遇は哀れなものです。もし、パラレルワールドで三人が違う形式で出会ったら、もっと幸せな形で絆を表せるのではないか、と鈴木保奈美が演じている小説家のトモミは、三人のことを聞いてからそう考えています。ドラマの結末、トモミの小説の3人の物語のラストシーンにはこう書かれています。

『白い車に乗って 三人が旅をしている
行き先は草原か 海のそばの小さな家か
幸せか 価値があるかということを 誰かの基準に委ねたりはしない
立ちはだかるものを破壊し なにものにも従わず
行けるところまで 三人は走って行く』

白い車の「白」は、無邪気な白で、純潔な白で、希望を象徴する白です。これは全部、ストーリーで起こっていることの正反対ですから、強い対比が表現されています。簡単な文字と美しいBGMが相まっているこのシーンを観たら、涙がこぼれました。

サウンドトラックも「インフルエンス」の見どころです。「インフルエンス」のテーマ曲を私が知る限りの単語で形容したら、「切ない」で形容します。その曲抜きには「インフルエンス」の魅力が半減すると言っても過言ではないです。作曲家の林ゆうきは、よくドラマの音楽を担当しています。他の作品の「緊急取調室」と「あなたの番です」のBGMも今でも覚えています。ちなみに、今放送中のポケットモンスター(2019年ー)の音楽担当も同じ作曲家で、新鮮な楽曲アレンジがポケモンアニメを彩っています。たまに「あな番」に似ているメロディーもありますが、子供向けの「ポケモン」と交換殺人の「あな番」を両方観ている視聴者は私しかいないかもしれませんから、他に誰も気づいていないでしょう。

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