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ピンクに洗脳される

だらだらと人々に続いて、電車を降りる。少しずつしか進まない行列に並んでホームから改札へと向かう階段を降りると、向かい側の階段から、友人が降りてきた。
お互いに、あ!と目が合ったかのように思ったけど、すぐに目を逸らして彼女は、歩いて行ってしまった。

階段を降り切ったところで、人混みが少し空いたので、彼女の元までわーっと走り、ふざけて軽く体当たりしてみた。

彼女は、うわぁあ!と大声をあげて驚く。
本当にびっくりしたんだけどぉ!急いでる人がいるって思ったらこっちに向かってきて、何何何、ぶつかる〜って思ったらぶつかられてびっくりしたぁ!変な人かと思った〜!やばいやられると思ったぁああ!とかなりテンパってしまっていた。ご、ごめんね。
家に帰ってからこの話を母にしたら、やめなさい!そんなこと!かわいそうでしょ!と怒られ、職場の先輩にも話したら、ひどい!かわいそうすぎるよ!と眉を顰められた。ご、ごめんなさい。

その日は、本屋で仕事に必要な本を買わなくてはならない日だったので、私は今から本屋に行くよと宣言すると、私も行こうかな!と言ってくれ、友人と共に本屋に行くことに。

着いてすぐに、占いの本のコーナーが目についたので、読もうよ!と誘ってみる。
手にしたのは六星占術の本。私は六星占術にハマっていて、友人は水星人プラスというのを知っていたので、水星人プラスの今年の運勢を読んであげるよ!と私は張り切り、音読をすることに。
すると、仕事についても、恋愛についても、何故か悪いことが書いてある。
あれ?と思い、ページをペラペラ捲ると、水星人プラスは今年から大殺界の文字。
あぁ、〇〇ちゃん今年から3年間大殺界だ。と言うと、大殺界ってなに?3年間なんてどこに書いてあるの?と詰め寄られる。
3年間ていうのは決まってて、えーっと……。
なんでここに連れてきたの!と笑って言われ、ちょ、ちょっと読むのやめようか……

ファッション誌のコーナーへ。
私とその友人は先日会った時に、最近ショッキングピンクにハマってるという話で盛り上がった。(たまたま全く同じ色の小さいバッグを持っていたりね)
ファッション誌のGINZAを手にとり、ペラペラと捲れば、ショッキングピンクの服や小物がいくつも載っている。
この色ってほんと可愛いよねーと言い、更に捲ると、今度はショッキングピンクのコスメ特集。マスカラで睫毛がピンクになっていたり、ピンクのラメが瞼についていたり、唇が真っピンクだったり。
友人に可愛い〜見てみて!と言うと、
なんかその色ピンク流行ってんの?と言われる。

あれ?流行ってるのか?私たちだけのブームじゃないのか?
そして、気づいてしまった。
ファッション誌コーナーを見渡すと、7割型表紙のカラーにショッキングピンクが使われている!ということに!

そして、思い出してしまった。
その年の流行のカラーというのは、国際的に何色か決められていて、流行するように仕立て上げられているという話!
私たちもまんまと洗脳されていたというわけか。(ピンクがその色に指定されているのかはわからないけど)

日々生活する上でピンク色が無意識のうちに目について、それで可愛い可愛い、となってしまっていたのだとしたら、それってサブリミナル効果みたいなものだよね。
でも、確かに最近目にしていないものを、いきなり可愛い可愛いって思ったりしないよね。
そう思うと、情報って巧みに操作できるね!そうやって流行って生み出しているのね!ということを改めて実感。
人って何回くらい目についたら、それが気になるようになるのかしら。

最後に仕事で使う本を二冊買い、本屋を出る。
暗い夜道を友人と一緒に歩くと、息が白い。お互いの家の方向に道が別れるところで、解散する。
手を振る。またね。気をつけて帰ってね。

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