見出し画像

つべこべ言わずにお金出してよ!の巻①~マラウイにラーニングセンター~

前回記事「段差のちがう階段とマラウイの寺子屋」で、マラウイ人若手教師ジョナサンと協力して作ったラーニングセンターについて、簡単に紹介しました。(村の様子は以下のYouTubeリンクをご覧下さい↓)

https://www.youtube.com/watch?v=3T-qfz1C1OA&list=PLsWGjJKFSrVQ8BoshBP6uTrl_XGs3_o1I&index=4

そのラーニングセンターの計画から完成までを綴っていきたいと思います。

※ラーニングセンター:未就学児から小学校4年生くらいまでの子どもを対象にした、読み書き計算の学習センター。周辺村長の協力のもと、地域住民有志で運営する。

      目次
1.小さなハートプロジェクトについて
2.青空と木の下でラーニングセンター
3.援助するときに気をつけること
4.自覚と愛着を持たせる
5.教育へ投資するということ
6.負の連鎖を教育で断ち切る
7.村長会議と運営委員会で決まったこと

1.小さなハートプロジェクトについて

小さなハートプロジェクトとは、「(社)協力隊を育てる会」が実施していて、30万円(送金手数料などを差し引くと実質27万円)を上限に、現場目線での支援を行うことができるプロジェクトです。

https://www.sojocv.or.jp/mbr_support/heart/project/openproject.cgi?projectid=p67563

具体的には、
・生活の向上等に寄与するもの(トイレの設置、公衆衛生にかかわるもの)
・識字教育や教育施設の設備充実
・そのほか技術指導など基本的生活ニーズを満たすもの

などがありますが、青年海外協力隊員の本来業務には適用されません。

私は「小学校教育隊員」として、教員養成校に配属されていたので、「学校の授業で使うプロジェクターが欲しい!」とか「教材を作るためにこんな材料を買いたい」など業務に関わることは、対象外。

教え子でもあり、地方の村で小学校教員として教育実習を始めていたジョナサンから、子どもたちの学力の底上げをするためのラーニングセンター(保育園と小学生向け放課後の塾を兼ねたもの)を作りたい、と話を聞いたとき、「小さなハートプロジェクトの要件にぴったりはまってる!」と気づき、申請することにしたのです。

その地域では、大雨になると、通学路にある橋が水没するということがたびたび起きていました。すると、通学できない子がたくさんいて、学校を休みがちになるので学力も低くなり、小学校を卒業できないままドロップアウトしてしまう、というのです。

画像5

画像4

2.青空と木の下でラーニングセンター

ジョナサンがラーニングセンターの話を相談してきた時、彼はすでに行動に移していました。子どもたちを放課後集め、他のボランティア教師(地域の住民)と一緒に基礎的な勉強や遊びを教えていました。

画像3

ただ、そこには校舎はなく、木の下、もしくは青空の下が「センター」なので、雨の日は休み。ボランティア教師(地域の住民)も教育技術もないまま、子どもたちを前に教えている状況でした。せめて、雨風が防げる「校舎」があれば、と考えたのです。

ジョナサンは、教員養成大学で学んだ教育技術や知識を、ボランティア教師たちに伝達することで、少しずつ教育の質を上げようとしていました。

画像2

(写真:近隣小学校で行った、ボランティア教師向けの指導法学習会)

3.援助するときに気をつけること

小さなハートプロジェクトで支援を受けるには、
① プロジェクト計画書の立案
② JICAマラウイ事務所の審査
③ 協力隊を育てる会の審査
④ 支援団体の決定
⑤ プロジェクトの実施
という段階があります。(2018年当時)

プロジェクト計画を立てる時には、地域住民にどれだけの利益をもたらすか、だけではなく、
・ 地域住民で維持していくのが可能にすること
・ 地域住民が可能な限り資金と労働力を出すこと

についても考えなくてはなりません。

シンプルですが、これがとっても難しいのです。

1つ目の「維持」とは、つまりサステイナブルかどうか。問題が発生したとき、どうすればよいのか、その対処までを地域住民の力で何とかできなくてはなりません。だから、いろんな具体的なケースを想定し、話し合いながら解決策を一緒に考えておく必要があります。

そして2つ目。もともと貧しい地域だから支援をするのに、「できる限り地域住民に負担させる」という、一見矛盾していることを要求するのです。

これが、現地の人にはなかなか理解してもらえません。
「なぜ貧しい私たちからお金を出させようとするのか」
「日本は豊かな国だから、支援してくれるのは当然じゃないか」

と、何度も言われました。

一言で言えば、
「けちっ!」←心の中の声
ということでしょう。(笑)
さすがに「けちっ!」なんて無礼なことは、心穏やかな国民性のマラウイ人には言われませんでしたが、近いことは感じていたのではないでしょうか。

画像6

4.自覚と愛着を持たせる

そう思われてまで、現地の人に求めるのはなぜでしょうか。

それは、「自分たちで作ったもの」という自覚と愛着を持ってもらうため。自腹を切って進めるプロジェクトには、簡単にはあきらめられない、という心理が生まれるようです。

反対に、人からタダでもらったものは、「どうせタダだから、失敗しても痛くもかゆくもない」となってしまうわけです。そうして、途中で頓挫したプロジェクトは数知れずあるみたい・・・。これまでに、多くの失敗例を見てきた担当者からのアドバイスなので、説得力があります。

自分自身に当てはめて考えると、どうでしょう。

例えば、研修。身銭を切って参加する研修は、その値段分学び取ってやろう、という気になりますが、タダで受けられる研修は、ともすると、「どうせタダだし」なんて気持ちになり、研修に臨む意欲も下がってしまうなんてこと、ないでしょうか。

また、人からもらった本よりも、自分でお金を払って買った本の方が、積ん読になる割合が低い気がします。



次回の記事へつづく↓

『つべこべ言わずにお金出してよ!の巻②マラウイにラーニングセンター』

https://note.com/chikondi/n/n462b8daa5081


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?