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ちょっと時間にルーズなマラウイの学校のチャイム

学校のチャイムと言えば「キーンコーンカーンコーン」だろう。
日本では定時に作動する自動の電子音だが、マラウイではほぼ100%の学校で手動チャイムだ。

「鐘」は学校ごとに様々だ。
タイヤのホイール。

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何かの鉄の板。

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古いガスボンベの底の部分をカットしたようなもの。

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基本的にどれも廃材だ。これを金属や木の棒で、思い切り叩いて鳴らす。
リロングウェTTC附属小学校では、手持ちのハンドベルを使っていた。

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鳴らすのは、先生に選ばれた高学年のしっかり者の子ども。何しろその子が忘れたら、チャイムは鳴らないのだから、責任重大だ。


右がチャイム担当の子。カメラを向けると得意げにポーズをとってくれた。

時刻の確認には、チャイム担当の子のクラスの先生の、腕時計か携帯電話の時計を使うことが多い。携帯電話が普及する前は、どのように時刻を確認していたのだろうか、なんて疑問はさておき。

教室には、基本的に掛け時計はない。盗まれてしまうからだ。一方、職員室には掛け時計がかかっていることもあるが、大体は電池切れで止まっている。逆に、学校の時計が動いているのを私立学校以外で見たことがない。探せばあるのかも知れないが、機能している掛け時計がある公立学校は少数派だろう。

リロングウェTTCの管理課には、大学ということもあり、掛け時計が2つもかかっていた。

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ちなみにこの写真を撮影した時刻は、8時11分である。

◇ ◇ ◇

そもそもマラウイの時間感覚はだいぶ大雑把だ。8時から始まる会合には、9時頃行くくらいでちょうどよい。なんだかんだで9時半ころ始まって、大体みんながそろうのは10時過ぎたあたりだろう。

こんなこともあった。
定刻に行ったら会場も開いておらず、しばらく待っても誰も来ない。中止になったのかと思い、その場から離れた帰り道の途中、同僚に出会った。そしてその同僚に、
「タナカ、今からどこへ行くんだ?これから集まりがあるんだから、ちゃんと参加しなきゃだめだ。」
なんて、こちらが注意を受けたのだ。

日本みたいに、5分前着席なんてことはありえない。たとえ5分遅れて行って、「遅れて申し訳ありません」なんて謝罪しようものなら、「何のこと?」とポカンとされてしまう。

普段の生活では、時計を持たずに生活する人も多い。目安になるのは太陽の動きだ。日が昇り始めてから、沈むまでの太陽の動きで大まかな時間を把握しているなんて、ある意味「理科」だ。

そんなマラウイでも、学校はがんばって時間で動こうとしている。でも、それを運用するのがマラウイ人だから、どうしてもきっちりとはいかない。作成義務があるから、時間割表は必ずあるけれど、「絵に描いた餅」状態になっている学校もしばしば。それはあくまで目安に過ぎない。

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そんな中で鳴らされるチャイムには、日本の我々が考えるチャイムとはまた違った意味合いを持っているに違いない。

どの学校でも大体似たような電子音が、正確な時刻を知らせてくれるわけではない。先輩が鳴らしていたリズムがゆるやかに引き継がれていくのだろうか。先生個人が持っている時計に左右される時刻。「鐘」は廃材を利用しているから、素材によって、形によって、きっと響きが違う。

ちょっと時間にルーズでも、その音を聞くと、「これ、うちの学校のだ」なんてことが分かるチャイムは、なんだか素敵だ。

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