死の床に置きたい7冊
小川洋子のエッセイ「博士の本棚」を読んでいたら、死の床に置きたい7冊というのがあったので興味深く読む。アンネの日記はもちろん、村上春樹の中では「午後の最後の芝生」という、最初の短編集の中から選ばれていた。
無人島に持っていきたい一冊もいいけど、死の床に置きたい7冊もいいなあ。
ということで、自分なら何を置くかなあと、髪の毛を乾かしながらリストアップしてみる。
1 谷崎潤一郎 細雪
これは本当に譲れない。上中下と長いけれどもう数回は読み返してる気がする。大学時代二度読もうとして二度失敗しているのに、その後読んでみると一日二日で読み終わったくらいおもしろくなった、不思議な小説。内田樹氏が無人島に持っていく一冊で挙げてもいた。
2 カズオ・イシグロ わたしを離さないで
これは初めて読んだときあまりにおもしろすぎて、デートの約束時間になっても止まらなくて横で電車のつり革につかまりながら最後まで読みふけったのを覚えている。大学の文学の授業の課題図書で読んだ本。最近読み返してないけれど、最後の部分についてまたじっくりと考えてみたい。カズオ・イシグロは他の小説も好き。
3 小川洋子 口笛の上手な白雪姫
小川洋子から一冊を選ぶのは難しいけれど、最近読んだこの短編集の、「口笛の上手な白雪姫」という話が今のところ一番気に入っている。銭湯に住み、身体を洗いにきた赤ちゃん連れのお母さんのために、いっとき赤ちゃんを預かるおばさんの話。
小川洋子はこういう、名もなき人の人生を本当に美しく、慈しみを持って描いているなあと思う。こういう文章書けるようになりたい。
4 ハリーポッター
言わずと知れた。小学校3年生くらいで出会ってからずっと好きで、おとなになっても読み返しているシリーズ。初めてシリウスがベールの向こう側に消えるシーンを読んだときは涙が止まらなかった。全冊持っていたのに床が浸水して手放さざるをえなくなってしまったのが残念。それからはkindleや図書館で読んだけど、また買い直そう...。
5 村上春樹 ねじまき鳥クロニクル
村上春樹は海辺のカフカで入って、そのあと国境の南、太陽の西、そしてこのねじまき鳥クロニクルとお気に入り作品が変わっているので、また変わるのかもしれない。すごく完成度の高い長編小説だと思う。これも長いけれど、年末年始とか長期休みのときにじっくり読み返したりする。本屋で売れたときは買い直した。
6 村上春樹 パン屋再襲撃
同じ作家の本を二回挙げるのはなあとも思いつつ、私の中で村上春樹の長編と短編は別作家が書いたくらい違うふうに捉えているので挙げてみた。この中のパン屋再襲撃が初めて読んだときからすごく好き。あまりに空腹で真夜中にマックを襲撃して大量のビックマック(だったかな?)を注文する話それだけなんだけど不思議と読み返したくなるのだ。
7 佐藤多佳子 サマータイム
引っ越しが多かったので子どものころから持っている本はことごとく手放してきたんだけれど、その中でハリポタと並んで唯一中学くらいから生き残っている一冊。小学生の姉と弟を中心とした連作短編集。眩しくて、切なくて、透明な子どもの夏が描かれていてとてもとても美しい話。今見返すとデビュー作だったらしい、すごい。
とここまでリストアップしてそのままノートを広げたまま寝て次の夜見返してみたら、夫から「ハリポタだけで7冊じゃん!」とコメントが書かれていた。
ぜひあなたの「死の床に置きたい7冊」もおしえてください。
それでは、また。
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