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8.1

久しぶりに青い空を見た日だった、空の高さに驚いた。空は高く澄んでいて、それだけで開放的な気分になった。自分という存在が、この世界とは切っても切り離せない、という当たり前のことをふと思った。

二回のどしゃぶりを挟んでその青い空は現れた。空には白い三日月が浮かんでいた。掃除機をかけてすっきりとしたリビングには西日が差し込んで、ダイニングテーブルの上でひじをつきながら私は久しぶりに、さあ、なにをしよう、と思った。こんなことを思うのは久しぶりだった。突如訪れる、ぼーっとする数十秒が、なんだか最近は愛おしい。

ここまでが先週。

コーヒーをゆっくりめに飲んで、センセイの鞄を読んだ。空きっ腹に入れたからかお腹がカフェインで重い。川上弘美はぜんぜん読んでなかったんだけどずっと本棚で眠っていたニシノユキヒコの恋と冒険が思いがけず良くて、買ってみた、こっちも本棚で眠りこけてたけど引っ張り出した。凝った文章でも凝った内容でも幻想的でもなんでもないのに、読んでいてすごくいいなあ、というか、清潔な香りが風とともに運ばれてくるような文章で、読みながらずうっとその理由を探している。

それでは、また。

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