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グロービスの目指す「幸福経営」とは (後編) グロービス経営管理本部長 内田圭亮

グロービスの経営管理本部長である内田圭亮に、自身の掲げる「幸福経営」をテーマに聞きました。後半では、コロナ禍での人事としての対応、そして「いつか来る幸福」のためではなく「今幸福を感じる」ことが大切だという幸福経営の内容に迫ります。(聞き手:竹内銀河 グロービス経営管理本部メンバー)

受け取り方は千差万別。コロナ禍でもぶれない可変的組織を創る

竹内:これはお聞きしなければと思っているのですが、この未曽有のコロナ禍についてお聞かせください。まだまだ戦いの最中だとは思いますが、この戦後最大の危機に対して、経営管理部門のトップとしてどう考え、様々な決定をされたのでしょうか。

内田:まずは大変なことになったなと。1月頃は、社会がここまで大きく疲弊・混乱することになるとは思っていなかったですから。

竹内:難しい判断が迫られる状態ですよね。印象に残っていることなどはありましたか?

内田:一番難しく感じたのは、コロナという脅威に対しての恐怖や受け取り方が人により千差万別であるということですね。ご自身やご家族の健康を守ることが最優先でその被害リスクを最小化すべきという考えも分かりますし、一方でそのリスクを最小化することで、本来グロービスが世に提供すべき価値が十分に提供できなくなる、という考えも非常に重要です。

新型コロナの脅威は現代人にとって未曽有の危機ですし、未だ解明されていないことが多いために、個々の意思決定において何が最適なのかは今でも考え続けています。ここ数カ月は、アクセルを踏みながらブレーキも踏み続けているという感覚ですね。

竹内:とても難しいバランスですよね。

内田:EC(マネジメントチームによる経営会議)の場でも様々な角度から意見を交わし平時とは異なる粒度で検討を続けてきていますし、今後も向き合い続ける必要があります。

竹内:その中で第二波に向けてのお考えをお聞かせください。

内田:コロナの状況はもはや自分でコントロールし切れる世界ではないですよね。そのため、どう転んでも対応が出来るように可変的な組織を創ることが重要だと思います。

「こうなったらこうする」という複数のシナリオを可能な限りあらかじめ描いておき、来るべき時に迅速に判断・行動できる状態を創れるかどうかが勝負ですね。勿論、一度描いたシナリオを刻々と変わる状況に合わせて柔軟にアップデートできることも重要だと考えています。

勿論、一度描いたシナリオを日々刻一刻と変わる情勢に合わせて柔軟にアップデートしたり、アジャストしたりしていきたいですね。ワークスタイル・ウェイもその一環で生まれたものだと思います。

幸か不幸か、コロナによって、人生において何を大事にしなければならないのか?その中での優先順位は何か?ということを、皆さん個々に感じたことがあったではないかと思います。その個々の優先順位に適した働き方を自分たちが選択できるようにしたものがワークスタイル・ウェイだと思っています。

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自分にとっての「幸せ」を見つけてほしい

竹内:内田さんは「幸福経営」を掲げていらっしゃいます。どのようなものでしょうか。

内田:まず「幸福経営」という考えが下りてきた(笑)きっかけは、「知命社中」(グロービスが提供している役員向け研修プログラム)に参加させていただいたことです。

8か月間もの間、同じ問いをずっと考え続けて、自分が一経営者として譲れないもの・成し遂げたいものは何かを考え抜きました。何度もスクラップ&ビルドを繰り返しましたが、自分の中で最後に行きついた問いが、「人は何のために生きているのか」ということでした。
   
そこから「究極的には、幸せでない人生には意味が無いな」と感じたんですよね。ただ、「幸せ」というものは定義しにくいですし、捉え方を誤ると寧ろ苦しくなってしまうものでもあると思うんですよね。「いつか来る幸せのために今は苦労をする」という考えは、過去の自分にもあった時期がありましたし、そう考えるのも分かるのですが、今はこの考えに違和感を持っています。
   
竹内:多くの方が考えてしまう苦労感ですよね。

内田:「いつか来る幸せとは、いつ来るの?」と聞きたくなります。何らかの地位や財産のような何かを手に入れた時にのみ感じる一時的な幸せではなくて、常に毎日生きていること自体、人生の過程そのものを幸せに感じられる社会を創り出したいと個人的に思っています。

そんな社会を創ることができるのも、「理想的な企業システムの実現」を経営理念に掲げるグロービスにしかできないのではないかと。だからこそ、経営教育の提供を生業にしているグロービスの経営こそが幸福経営の手本である、と胸を張って言えるような企業にしていきたいと思っています。

竹内:内田さんにとってはチャレンジしていくこと自体が幸せに感じるということですね!

内田:自分の場合はそうでしたが、人によって幸せを感じることは様々だと思います。普段仕事をしていると、こうあるべきという常識が頭をもたげたり、論理的に正しいと思われることばかりを頭で考えてしまいがちになりますが、幸せは頭で考えるものではなく、心で感じるものだと思っています。

一度頭で考えることを止めて、心の声に耳を傾け、内なる心の声を聴くことが幸せになるための第一歩だと考えます。

皆さんにも、自分の心が幸せだと感じる、自分ならではの真の「幸せ」を見つけてほしいですね。そんな会社・部門運営をしていきたいと思っています。
   
竹内:心の声を聞く……深い言葉ですね。

内田:ちょっと宗教チックに聞こえてないですかね?そういうわけではないので、誤解なきよう(笑)あくまでもこれは個人的な自分の想いですが、自分が幸せと感じられていない人に、他人を幸せにすることは難しいのではと思っているので、まずはグロービスで働くみなさんにとって、自分の「幸せ」を見つけてほしいと考えています。

竹内:はい、最後に読者の皆様へメッセージをお願いします!

内田:皆さん、「幸せ」に働けていますか?(笑)素直に「Yes」と言えないのならば、何を変えれば幸せを感じることができるのか考えてみてください。分からないと感じる方は、ぜひ自分の心の声を聞ける努力をしてみてください!ワークライフバランスも良いですが、ワークの中にこそ幸福を見出していきましょう!

竹内:どうもありがとうございました!

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