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【コロナ禍リモートワーク体験記】仕事の視座がリアルよりも上がった理由

コロナ禍リモートワークのチームマネジメントのコツ①は、私のチームリーダーが書いた記事です。このチームは業務も多岐にわたりチームメンバー構成も多彩、かつコロナ禍に入社した新しいメンバーも多いという難しい状況にありました。ですが、リーダーが積極的にコミュニケーションをとり、また様々な仕組みを導入することで、リモートワーク中でもとても働きやすい環境でした。

このチームでの約1年間リモートワークを通じて、私自身、仕事の視座があがり、チームとしても仕事がはかどるようになりました。リモートワークでは、「各メンバーが何をしているのかわからない」「コミュニケーションが活発化しない・簡単に相談できない」「進捗状況が見えづらい」「新しい取り組みが全くうまれない」といった懸念があります。けれども、私の体験ではむしろリアルよりもリモートワークの方が生産性があがりました。その理由はなぜなのか、メンバーとして仕事をしてきた私の視点からお話をしてみたいと思います。

①チームの目標を共有することで視座が上がる

我々の部門では、自身の目標設定(MBO)とは別にQ毎にチーム、事業、部門でのOKR(OKR:チームとしてのObjectiveを決定し、そのためのKey Resultを設定)を決めます。このOKRは「我々が何をするか」を定義するものではなく「我々がどうなっていることが理想か」を考え、120~150%ストレッチしたObject(目標)を設定し、そのためにKR(理想の状態)を決定します。

OKR設定では各チームの目標・役割を明確にしていくので、個人の役割だけではなく、チームとして「何を求められているのか」を考えるきっかけができます。個人の役割を超えた議論がなされることで、仕事の視座があがり、また個人の目標を超えたゴールを意識し仕事をするようになってきたと感じています。

さらに、リモートワーク下では周りが見えないため個人の仕事に集中しがちですが、このOKRのおかげで、チームとして求められている役割を常に意識し、業務の優先順位を考え判断する習慣がつきました。

例えば、私は法人向けの新規事業のマーケティングを主に担当し、当初は極端に言うと「年間200新規リード獲得」が本人のKPIであれば、そのKPIさえ達成されれば良いという発想になりがちでした。

しかし、チームOKRを一緒に考えると、新規リード獲得も大切だけれど、サービス全体からの視点でリードの質やそのためのサイトや広告でのマーケティングメッセージはどうあるべきかをしっかり考えるようになりました。その結果、サイト改善や見込み顧客へのメール改善などを行い、リード獲得数を維持・向上しながらもリードや問い合せの質が向上していきました。

②リモートワーク下では情報の可視化、業務の標準化がより重要

以前の記事で、我々のチームでの「組織運営の仕組み化」や「情報の可視化」のトライについてリーダーが紹介していましたが、実際に約1年を通して、私はその効果を実感しました。

Trelloによるカンバン方式で、チームが行っている業務を可視化&共有していますが、一人で悩んでいたことも、他の人がやっている仕事を知ることで、依頼・相談しやすくなったり、助け合うことで効率的に仕事がしやすくなってきました。

例えば、私はサービス導入企業の事例を紹介する記事制作を担当していたのですが、顧客と直接接する機会がほぼないため、取材先選定に苦労していました。営業担当やカスタマーサクセスにかかわっているメンバーに時間をもらい、逐一顧客情報をヒアリングし取材打診を行うというのは大変効率が悪く、私にとっても、営業にかかわるメンバーにとっても骨が折れるものでした。

ですが、Trelloによる業務確認の場で各企業におけるサービス導入状況等をタイムリーに把握することが可能になると、「どのような企業事例が他の企業にとって有益か」がわかるようになりました。さらに、取材をお願いしたい企業がある場合は、その場でメンバーに取材したい旨を伝えてスムーズに依頼を行うことが可能になりました。

また、その営みの中で、メンバーからお勧めの取材先企業候補を教えてもらえるようにもなってくるなど、お互いの業務の効率も上がってきました。実際にこのコロナ禍でも、オンラインでの取材を含めて10社以上の事例記事を作成しています。

③番外編:アジャイル方式立ち上げ期は大変なことも

我々のチームはサービスの法人事業チームとして、マーケティング、営業推進、代理店対応、カスタマーサクセス、クリエイティブ、データ担当など複数の機能を担当しています。極端に言うと、各々自分の担当業務についてはよく理解しているのですが、完全に分業体制をとっていたので、他メンバーが何をしているのかよくわからないことも多くありました。

そこで、ビジネス部門チームながら、開発部門で取り入れているアジャイル方式を取り入れることになりました。アジャイル方式を取り入れた当初は、チームで各ファンクションの業務報告を行ってもマーケティングのみを担当していた私としては、マーケ以外の話がチンプンカンプン……何を話しているのかさっぱりわからない状況が続きました。

また、それまではほとんど自分1人で完結できる業務が多かったため、Trelloに自分の携わっている業務・タスクを入力すること自体も手間に感じていました。

ですが、1ヵ月2ヵ月と経ってくるうちに次第にチームでの業務の輪郭が見えてくるようになりました。すると「ここは一緒に進めることで効率化できそう」「それはこちらで担当したほうが早いかも」などと思うことも多く、効果を実感してからは、入力も手間ではなくなってきました。

④リーダーの役割

このような立ち上げ期の「アジャイル方式を取り入れる意味が感じられず負担」というメンバーの空気をポジティブに変えていったのは、リーダーの力です。

リーダーがその空気に屈することなくチームに意図を伝え続け、定例ミーティングでの各担当からの業務発表の意義などを説明するうちに、「この業務は自分に関係があるかも」「このタスクは営業推進担当者とクリエイティブ担当のデザイナーと一緒に進めると形になりそう」など、業務の共有によって業務の効率アップや高品質なアウトプットにつながるということがチーム内に浸透していきました。

また、チームのコミュニケーションを活発にするために、リーダーがランダムにメンバー間の1on1を四半期毎に設定。普段の業務上では接点が少ないメンバーとも2週間に1度は業務・プライベートな会話をすることで、さらにお互いの業務理解が進んだこともプラスに転じた理由だと感じています。

立ち上げ当社はTrelloによる業務確認ミーティングのファシリテーションはすべてリーダーが行っていましたが、現在では指名されたメンバー誰が行ってもスムーズに共有が進むまでにチーム内の業務が可視化されてくるようになりました。


今回は、約1年間にわたりリモートワークをしてきた中で、私自身、仕事の視座があがり、チームとしても仕事がはかどるようになった体験をお話ししてきました。次回は、4歳の息子を持つワーキングマザーとしてのリモートワークについてお話ししたいと思います。

執筆者:上原綾子 グロービス グロービス学び放題法人事業 シニア・アソシエイト