プロローグ⑨〜君と一緒に泣き叫ぶことができたら

2019年2月5日

満員電車が大嫌いで、午前8時台の上り中央線なんて乗っただけで寿命が100日縮みそうな気がするけれど、背に腹はかえられない。9時の予約に間に合うよう、すし詰め列車に乗り込んで押し合いへし合いしながら某大学病院の最寄駅へ到着。

病院のあまりのデカさに驚愕しつつ、ウロウロしてるうちに辿り着いた入り口が緊急外来用だったりして軽くラビリンス状態。やっとの思いで初診受付に到着し、紹介状やCD-ROMなど一式を提出し、諸々の手続きを終わらせてようやく耳鼻咽喉科の窓口に向かう。

耳鼻咽喉科の待合室では5歳くらいの子供が大声で泣き叫んでいた。
紹介状がないと受診できないような病院にこんな小さい子が来るなんてどんな症状なんだろう、可哀想に。
そりゃ怖いよな。俺みたいないい歳こいたオッさんだってドキドキしてるくらいだ。むしろ感情のままに泣き叫ぶことができる君が羨ましいぜ。俺も一緒にやっていいか?多分追い出されるだろうけどな。

そんなことを考えているうちに名前を呼ばれて診察室へ。区内の総合病院の先生は女医さんだったけど今度は若い男性の先生で、持参したCD-ROM内のデータをチェックしたり、実際に口の中をのぞいたり。

今日新しくやったことは、鼻から内視鏡を通して喉の奥をチェック。あとエコー検査。そして生検といって、口腔内の異物を少し切り取って検査するというもの。

「切り取る」といえば聞こえがいいが、どちらかといえば切るというよりも挟んで引きちぎるといった方がいいかもしれない。もちろんほんのちょっぴりだし、麻酔が効いているので激痛ではない。それでもそれなりに痛いし、ブチっという衝撃はなかなか日常では味わえないかも知れない。
この調子で全部の怪しい箇所を引きちぎってくれてもいいのに。

検査はこれにて終了。

先生曰く、やはり悪性腫瘍、すなわちガンの確率は非常に高いけど、しかし今の段階では確実にガンと断定できる要素もないらしい。
現時点ではまだ何らかの細菌感染による腫瘍の可能性も捨てきれないようで、エコー検査で診たリンパの腫れも中咽頭のガンが転移しているにしては中身が空洞らしく、ひょっとしたら単に水が溜まって腫れてるように見えるだけかもしれないとのこと。

一縷の望みが繋がったと言えばそうかも知れないが、しかし正体不明なままという点では何も変わってないわけで、むしろ検査結果が出るまでいたずらに時間を伸ばしただけとなるかも知れない。
そしてたとえガンでなかったとしても、身体にとって全くの無害というわけではなく、決して良い状態ではないのは確か。だから今日の検査の結果次第で治療方針を決めてしっかり取り組んでいきましょうという話だった。

検査結果は来週の木曜日。
果たしてそれで全ての答えが出るのだろうか。




美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。