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【絵日記#こんコロ-DAY109】 自らの道を切り開くということ

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文 掛田智子 絵 ちから


想像を超えていた
祖父母の墓は呉市仁方の山の中にあり
それはそれは自然に囲まれた気持ちの良い場所である

しかし、頻繁に墓参りにも来れず
あたりはもうジャングルと化していた

もともと小道があったのだが、雑草で覆われ完全に塞がれていた。これは、少しずつ道を開通させるしかない。斧と枝切り鋏を駆使して道を切り開く。
ありとあらゆる植物。触れようものなら、棘に刺され、抜こうとすると、皮膚を切られる。

必死の思いで墓まで辿り着く。
墓石の中からも何やら植物がたくさん生えている。もうかなわない。
墓石の表面には無数の蟻が列になり、何か白いものを運び出している。もう払いのける気にもならない。
斑点のあるオレンジ色のサナギが起こされたことにびっくりしてくねくねしている。大丈夫よ、何もしない。

道を切り開いたけれど、もうそこには世界が廻っていた。虫たちも舞っていた。そこのルールで動いていた。

静かに墓石を磨いて、花を供え、線香をたてる。
足音を残すみたいに。

きっとあと1週間もすると元通りになる。わたしが去ったその時から、道ではなくなり、彼らの宇宙となる。


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