期待をしている
幸せなことも良かったことも努力をして頑張っていることも、そう言うのをあまり言ったり表に出さない方がいいよみたいな空気感が私はずっと苦手だ。頑張っているねと言われたら「いえいえ全然…」と謙遜し、最近順調そうだねと言われたら「そんなことはないですよ。本当はしんどくて…」みたいな返事をピンポイントで求められてる雰囲気を察した瞬間にとても寒気がする。以前の記事にも少し記したが、苦労をしていることや辛い思いを耐えていることが美徳であり美しいみたいな価値観、早く無くならないかなと長らく思っている。私は順調だったら「はい。いい感じですよ。」と答えるし毎日楽しいのでわざと思ってもないような事を言い、相手に不幸話を合わせるようなことはしない。
楽しいことや嬉しいことが好きだ。自分で努力を重ねた先に何か新しいものを掴みとれることもとても好きだ。努力は必ずしも報われるかは分からない。時に自分を裏切ることだって長い人生何度か訪れることもあるだろう。だけど努力を続けると成功するチャンスが何もしないよりも遥かに増える。その手に掴めるものが絶対的に多くなることは確かだ。心は前向きにシフトチェンジしていくし、日々自分の中で新たに越えたい壁も表れるだろう。一つできることが増えると、更にまた出来る様になりたいことも必然的に増える。その度にまたきっと進化していくのだ。そのように努力を続けられる人は前向きなスパイラルに突入する。きっと夢に向かって順調にそして確実に進んでいくのだろう。
反対に文句ばかりを言う人はどうだろう。
私の母は現役時代クロスカントリースキーの選手だった。才能も沢山あっただろうけれど圧倒的にそれをも上回る努力家で「人の見えないところでどれくらいやれるかが大事」とよく言っていた。母はスキーの成績で日本一になったこともある。現役を退いてからは監督としてチームを日本一にしている。私は昔からとても尊敬している。
そんな母がずっと大切にしている言葉がある。幼い頃から私もその言葉を言われて育って来ているので私の人生の大きな軸にもなっている言葉だ。
『努力するものは希望を語り、怠けるものは愚痴を言う。』
本当にこの言葉に尽きる。努力というのは正直言ってめちゃくちゃ地味だ。全然華やかさもないし、ひたすらに日々の小さな積み重ねの上に成り立っていると思う。だけど実際そのような努力を毎日重ねていく途中に自ら分かったことがある。毎日毎日来る日も来る日も高い志の元それをやり続けることはすごく難しいということだ。自分との戦い。努力は急に突然何かが飛躍して報われるわけでもない。アリの歩幅くらいゆっくりのペースで、一見何が変わったのか分からないくらいのスピードで少しづつ変化していく。本当に途方に暮れるような地味さなのだ。だけどそれをやり続けられるかが結局のところ才能より何より大きな夢の尻尾に繋がっていると私は思う。
とても憧れている世界的な音楽プロデューサーの方も言っていた。「才能があってもそれを発揮できるかはその人自身の覚悟にかかっている。努力を積み重ねて自分に打ち勝てる人だけが夢を叶えて成功する。」その言葉を聞いた時自分の中でそれは確信に変わった。才能は実に不確かだ。いざという時に私のお守りになるのはきっと才能ではなく努力してきたという確固たる事実だ。頑張り続けることはとても難しいし、反対に愚痴をこぼして何もしないことは簡単なのだ。誰にだってできる。なるほど納得だ。私の中にあった小さな違和感が一つの線に繋がった。
順調か聞いて順調じゃないという答えを求めて来た人たちは、ただ単に怖いのだ。猛烈に頑張ってる人が怖いのだ。そこに追いつくためには気の遠くなるような自分との戦いを始めなければいけない。結局戦う相手はいつも自分自身だ。何となく文句や愚痴を言っていつも何かのせいにして誰かの不調を聞いて安心しなければ保てないのだろう。きっとそれも習慣で楽な方に逃げてしまう癖がついているのだ。戦うよりはそりゃ楽だ。一生懸命はしんどいから。わかるけどね。本当に地味だししんどいから。だけどその分得るものも大きいと私は思う。何より嬉しいのは今日より明日の自分に更に期待ができるということだ。
どんな時も自分に期待を持てることはすごく嬉しいことだと思う。私は昔少し心の具合が悪かった事がある。当時のことはあまり覚えていないけれど、自分のことが嫌いで失望していたし全く期待できない時期があった。この事はまた別の機会に書こうとも思っている。そんな時期が確かに自分の人生にあったのだ。だけど今ようやく私は自分自身に期待している。明日をとっても楽しみに思う。なぜならこれからすごくうまくいく気がしているからだ。それは気のせいなんかじゃない。確信が持てるくらいの時間を今日まで過ごして来たからだ。
誰に期待されるよりも自分が期待できるようになったこの変化が何より嬉しい。
これからもきっと思ってもいないことは言わない。順調だったら順調というし、幸せだったら幸せという。訳のわからぬ謙遜は、いったい誰のためか分からないから。
おしまい
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