出来が悪いと自虐的になるくらいなら、3年で『プロ並み』になってみろ!
以下は、実話である。筆者が得意とする『人を育てる(能力開発)』において、過去最高に苦労した教育指導の一例をご紹介したい。
<知人の娘を預かる>
或る日突然、知人(一部上場企業の課長)から「うちの20歳になる娘が出来が悪く、何とかならんですか!?」との相談があった。大変失礼ながら、見た目もオーラも美麗とは言えず、上品で聡明な感じを全く受けぬ娘だった。
最初は知人の頼みを断るつもりでいたが、知人の真剣な目に頷き、預かることにした。3年以内に大卒程度のレベルに引き上げるために、徹底的に教育指導を行うことを約束したのである。
<娘の履歴と特質>
その娘は、器量は良いが、勉強嫌いで、礼儀作法も言葉遣いもなっていない。多分、悪友との繋がりもあろうし、家庭内での親子問題も多々あるのかと察したのである。
履歴書を見ると、県内でも偏差値は高いとは言えぬ高校であり、漢字もろくに読めず、読解力もない。英語なんぞ全然ダメダメ、パソコンもダメ、料理もダメダメ。ただ、本人の興味は唯一『ファッション』のようで、オシャレだった。
<入社早々に>
早速ながら、入社当日から課題を出すことに。
(1)記事中で読めない漢字を書き出し、調べること。
(2)キーボードのブラインドタッチをマスターすること。
(3)ショートカットコマンドキーを全て覚えること。
(4)ホームページの制作に必要なHTMLを覚えること。
(5)食事の箸の持ち方、食し方など礼儀作法など学ぶこと。
それから3ヶ月ほどして、変化があった。
(1)難しい漢字や表現が分かるようになってきた。
(2)ブラインドタッチは完全マスターできた。
(3)ショートカットコマンドキーを覚えた。
(4)HTMLをマスターし、英語も徐々に読めるようになった。
(5)礼儀作法については、僅かに進化が見えてきた。
<入社して1年後>
1年が経ち、本人が急に辞めたいと言ってきた。知人から預かり、約束したことを完遂できないでは、洒落れにならない。
その場で、肩を叩き喝を入れた。「何を甘えているんだ。お父さんと約束したんだよ。今では、漢字も読めるようになりつつあるし、記事を読んで理解できる。プログラムもできるようになったじゃないか!」と、厳しく叱った。
それから、業務に関しては、何も指示を出さなくても、自ら積極的に学び、制作に傾注するようになった。また、新たなデバイスもアプリもマスターするのが早くなり、全ての業務のフットワークが良くなった。
<入社して3年後>
気づけば、入社から3年が経った。また、そこで依願退職願いを言い出したので、「今やっと半人前(プロ並み)。これからが本番。しっかり頑張れ!」と言って、叱咤激励した。
入社当時、かなり出来が悪かった娘が、有能なベテラン女性スタッフ(皆、国立大学卒)たちにしがみ付き、遅れを取らぬよう踏ん張っている。先輩のプログラムを後ろからじっと見てメモを取っては、自分のデスクに戻り練習を重ねている。
何度も折れかかった知人の娘だったが、恩を着せる訳ではないが、筆者との出逢いがなかったら、今でも、漢字は読めず、記事も理解できず、英語も分からず、キーボードも二本指で、ダメダメ人間のまま、出来の悪い母親に成り下がったのだろうと。
<入社して10年後>
入社して10年間、その娘は頑張った。20歳だった知人の娘も30歳。良い人ができたのだろうか、丸10年で当社を卒業し、一端の大人の女性として巣立ち、親の元へ戻って行った。
以下は、知人の娘の入社時の査定である。
1)パソコン
2)アプリ
3)読解力 ★
4)英語力
5)HTML
6)3D制作
7)デザイン
8)料理 ★
9)礼儀作法 ★
10)人格 ★
※8)料理は、ランチで自炊すること。
▼以下は、入社3年後の査定である。
1)パソコン ★★★★★
2)アプリ ★★★★★
3)読解力 ★★★
4)英語力 ★★★
5)HTML ★★★★
6)3D制作 ★★★★
7)デザイン ★★★
8)料理 ★★
9)礼儀作法 ★★★
10)人格 ★★★
※8)料理は、ランチで自炊すること。
▼以下は、ベテランスタッフの査定である。
1)パソコン ★★★★★
2)アプリ ★★★★★
3)読解力 ★★★★★
4)英語力 ★★★★★
5)HTML ★★★★★
6)3D制作 ★★★★★
7)デザイン ★★★★★
8)料理 ★★★★★
9)礼儀作法 ★★★★★
10)人格 ★★★★★
※8)料理は、ランチで自炊すること。
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