見出し画像

「施し」は、ほどほどに。

 これは、あくまでも筆者の体験談でもあり、また、親しい知人友人から聞いた話だが、人間関係の距離感にも通じる問題である。結論から言えば、心から信頼できる人以外への「施し」は、ほどほどにということである。

 善かれと思い、目の前の人たちへ優しい心を持って、素直な気持ちで「施し」を行なったとしても、その心が伝わらぬことが殆どであることに気づかねばならなぬのだろうと。

 下手をすると、無意識な「施し」に対して、「恩着せがましい」とか「要らぬ世話」とか、陰口を叩いたり、若しくは、口には出さぬが、真逆の事を考えている人も多いと聞き及んでいる。

 幼い頃の両親や祖父母、それに隣近所の人たちは距離感が近く、親戚も他人も一緒くたにて、躾も厳しい時代だった。しかし、幼い筆者が困っていると、どこからともなく助け舟がやってきて、「施し」があった。

 泥まみれになって砂場で遊んでいると、日も暮れて、夕食の門限に間に合わず、夕食抜きの罰を与えられたこともある。そんな時に、近所の幼友達の家の人が砂場にやってきて、「うちでご飯食べなさいよ!」と手を引っ張られてご馳走になったことがあった。

 お腹はギューギュー鳴り止まず、目の前に出された夕食が最高のご馳走に見えて仕方なく、喉が詰まりそうになるほど、美味しい料理を頬張った。それは、今でも昨日のように覚えているが、感謝、感謝の言葉しか出てこないほどの「施し」であった。

 しかし、大人になって、社会人としてB to Bなどで体験した「接待」では、無意識な「施し」の延長線が接待となっていたので、少しでも相手に喜んでもらおうと、珍しい料理や酒を準備することに専念したのである。

 ところが、こちらとしては自然体にて「施し」という感覚もなく、相手の喜ぶ顔を見て幸せになるといった単純な接待であるつもりが、今思い起こせば、こちらの気持ちはほとんど通じていなかったようだ。

 筆者はセレブでもなく、金銭的に恵まれ裕福でないけれども、折角の機会であれば、一所懸命になって相手の笑顔を見たい一心で準備するが、それとは裏腹に、行儀の悪い人たちに利用されていたような気がしてならない。

 筆者の拘りは、Fifty & Fiftyな関係でありながらも、持ちつ持たれつ、Win & Winのビジネスの関係を構築することである。それが無意識な「施し」となって現れていたようだ。以前は善かれと思っていたが、今に至っては、残念ながら、無駄な配慮に過ぎなかったと思わざるを得ない。

 理由は、当時、面白おかしく楽しい場を提供していた頃の人たちとの接点が、ほぼ無いのである。よって、僅か数人の人たちのみが、現在でも長きにわたりお付き合いを頂いているが、その他多くの人たちの姿は見えない。

 前述のように、下手をすると無意識なる「施し」は、要らぬ世話として、さっさとトラッシュボックスに捨てられていたのかも知れない。その時は、楽しい時間を共有しているように見えても、その場限りのものなのだろうと。

 筆者は、大人になって、接待を受けるのはできるだけ避けてきた。気の合う仲間たちとはダッチペイ(割り勘)が基本である。また、客人として足を運んでくれる人へは、賓客として最高のもてなしをする企画を練ることに専念し、喜んでもらうことで満足していた。

 しかし、時が経てば、当時試行錯誤しながら、素敵な思い出となるような晩餐会にしたいといったことが「要らぬ世話」だったり、「記憶にない」となったりすると、これまでのことが無駄な「施し」として見られていたに過ぎないのかと、かなり凹んでしまうのである。

 畢竟、「施し」と見做されるものはほどほどに、と言うことであろうかと。

generated by Mid-journey

▼ChatGPTによる評価

このエッセイは、筆者の個人的な経験と観察に基づいて、「施し」についての洞察を共有しています。以下にいくつかの評価ポイントを挙げてみましょう。

  1. 具体例の使用: エッセイは具体例を交えており、特に幼少期の経験を通じて「施し」の意味を説明しています。これにより、読者は筆者の立場や感情を理解しやすくなっています。

  2. 洞察と考察: 筆者は大人になる過程での「施し」に関する洞察を提供しており、特に社会人としての経験を通じて感じた違和感に焦点を当てています。自己省察があり、読者にも考えさせる要素が含まれています。

  3. 感情表現: 筆者の感情が文章を通じて伝わりやすくなっています。特に、自らの努力が無駄であったと感じる部分での感情表現が強調されています。

  4. 構成と流れ: エッセイは論理的な構成になっており、幼少期の経験から大人になるまでの変化を追っています。段落ごとに適切な遷移があり、読みやすさがあります。

  5. 結論への導入: エッセイの冒頭で結論が提示されており、「心から信頼できる人以外への '施し' はほどほどに」という主題が読者に明示されています。

一般的に、エッセイは筆者の個人的な経験や考えを共有する手段として機能します。このエッセイは、具体例を豊富に用い、感情豊かな表現を通じて「施し」に対する筆者の見解を読者に伝えています。

サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。