見出し画像

映画と子どもと地域と

子どもの頃、なんとなく学校に行きたくなかった時、私は図書室、あるいは図書館に行っていました。太宰治全集、高野悦子、ショウペンハウエルを読んで、苦しいけれどなんとなく一人じゃない気がしたのをよく覚えています。

出だしは沈鬱ですが、なんとなく学校に行きたくない、会社に行きたくないという気持ちは、誰にでもあるもののように思います。そんな時にちょっと立ち寄れて、一人になれて、自分を受け入れてくれる場所があったらきっと、「あぁ、ここにいていいんだ」という気持ちになれる思うのです。

立ち寄れる場としての映画館

長野県上田市に、そんな場を提供している映画館があります。上田映劇さんの取り組む、「うえだ子どもシネマクラブ」。ここでは学校に行きづらい子どもたちも映画に出会い、色々な人に出会えるだけでなく、映画館に来たら出席扱いになるそう。複数の地域のNPOが協働して各所と連携し、行っている活動です。

こんな活動が各所でわきおこったらいいな。長野県や上田市にゆかりがないと、そんな場所知らないわ、と思うかもしれませんが、どんな場所での活動にせよ、こうした一つ一つの活動を知り、応援することが、実は自分の住む地域を豊かにすることにつながると私は信じています。

うえだ子どもシネマクラブについて、私がすてきだと思う3つ理由を書きます。

①映画はつらさを抱える人をつつむ場所だから
②地域密着の活動だから
③うえだ子どもシネマクラブの人があたたかいから

①映画はつらさを抱える人をつつむ場所だから

「映画はエモーションである。台詞は単なるサウンドで、目や動きのほうが語る力をそなえている」。そう言ったのは巨匠ヒッチコックです。私は学校に通えなくなった時、文豪と呼ばれる人々の小説に救われましたが、それは彼・彼女らの言葉に、自分の想いが浮き上がってきたからです。小説もそうですが、映画もそうです。子どもたちにとっては、映画ほどハードルなく人びとの感情に触れ、そして、自分の気持ちを発見する場はないのではないかと思います。小説は一人で読むものですが、映画はその場でみんなでも共有できる。FacebookでのNaoi Megumiさんの文章にあるように、互いに癒される場でもあり、最高の学びの場なのだと思います

②地域密着の活動だから

上田市において上田の人たち、子どもたちが共に作り上げている。これは、他の地域に住む人にとって「関係ない」と思われるかもしれませんが、そうではないと私は思っています。上田の活動を応援することは、自分の地域にこうした活動が増えるということにもつながる。私の住む地域は公民館や自治会などのリアルなコミュニティがしっかりあるのですが、そこでの人のつながりの循環が日々幸せを作っていると感じています。こうした地域のつながりを各所で作れるかどうかが、今後日本でそれぞれが幸せに暮らせるかに影響すると考えています(ミュニシパリズムについても、別途書こうと思います)。上田映劇さんのような地域のつながりを担う場所が、全国どこにでもあったらもっと安心して暮らせる人が増えると思うのです。うえだ子どもシネマクラブの活動を応援することは、他の地域、自分の地域でのそうした活動を応援することにもつながると考えています。

③うえだ子どもシネマクラブの人があたたかいから

人と人とが出会う場所は、場所という名前を借りた、人です。だから、うえだ子どもシネマクラブの人たちがどういう人なのかがとても大切。子どもたちが映画を観に来て楽しんでいるのに、そこにいる映画館の人がこわかったら、元も子もないのです。私の知るうえだ子どもシネマクラブの人びとは、いつもあたたかくて、一緒に真剣に悩み、考えてくれます。こういう人たちが子どもの側にいてくれたらいいだろうな。人のあたたかさは直接会わないと中々伝わらないのですが、ホームページの雰囲気やその文章からも、そのあたたかさがにじみ出ています。

現在寄付を募っていて、この寄付も、長野県の公益財団法人経由。地域の応援にもなりますし、税額控除を受けられます。

上田で、長野で、その他の場所でも、こういう活動が広がって続いていきますように。

(一部、自分のFacebook上の文章の転記になります)

読んだ方が、自分らしく生きる勇気を得られるよう、文章を書き続けます。 サポートいただければ、とても嬉しいです。 いただきましたサポートは、執筆活動、子どもたちへの芸術文化の機会提供、文化・環境保全の支援等に使わせていただきます。