Chika Kochi Ochiai

関心は文芸、舞台芸術、子ども、沖縄。 読谷と蒲田が好き。山椒は小粒でもぴりりとからい。…

Chika Kochi Ochiai

関心は文芸、舞台芸術、子ども、沖縄。 読谷と蒲田が好き。山椒は小粒でもぴりりとからい。 一般社団法人CoAr代表/ケイスリー株式会社/慶應義塾大学SFC研究所

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芸術文化が人々に必要な理由

ドイツ政府が、コロナウィルス対策で、大規模な財政支援を打ち出したことは前にも少し紹介しました。発表された財政パッケージには個人・自営業者向けの支援として最大500億ユーロがあるそうです(ドイツには約300万人の個人または自営の小規模起業家がおり、その半分近くが文化セクターで働いているそうです)。(Newsweeks ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」大規模支援 2020年3月30日(月)) そして続く、この文章。 予断を許さない異

    • 沖縄には、詩が湧いている

      2024年度になりました。締切などが落ち着いて、ようやく、ほうっと自分の時間を持てる季節になったなぁと思います。 趣味は文芸とピアノで、特にエッセイと小説を日々書いているのですが、2020年に沖縄に来てからは、もっと文芸に割く時間がほしくて、生活の中での優先度が変わるほど、色々書いてきたような気がします。 詩はたぶん、小学生の頃から書いていたけれど、一番大きなきっかけは高校3年生で、2か月ほど引きこもった時。受験にのめり込み過ぎて、寝られなくて、外に出られなくて、勉強はお

      • 子どもの体験を考える。人徳と発信、準備、地域と広域という観点

         みらいファンド沖縄の「沖縄・離島の子どもの体験保障を考えるシンポジウム」に進行役として参加してきました。1年間の休眠預金事業の総まとめでもあるシンポジウムです。  体験に関して、沖縄の子どもたちについて、日頃から取り組んでいる・考えている人たちの集まりで、たくさんの学びがありました。素晴らしい登壇者の方々でした。動画アーカイブもありますので、ぜひご関心のある方にはご覧になっていただければと思います(3時間半と長いのですが)  シンポジウムでの大きな学びの一つが「発信」と

        • 決して横柄にならない

          記事や書籍を読んで、素敵だと思っていた人が、出会ってみると”横柄”だったことに気づき、残念に思ったことが何度かある。 文章を読んでいる限りは言葉も美しく、きっと視野も広く、感性も豊かな人なのだろうと思う。 しかし会ってみると、その人が非常に薄い権威の膜を纏った人だとわかることがある。 ”横柄”と、引用マークで囲ったのは、それがいわゆる一般的な「横柄」とは違うからだ。見るからにわかる横柄ではない。むしろその立ち居振る舞いは、俳優のように整えられていることもある。演劇的、と言って

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        芸術文化が人々に必要な理由

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        • 沖縄からもらったもの
          16本
        • 文章を書くことを書く
          8本
        • 考えるを考える
          15本
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        • 私の仕事
          24本
        • 芸術文化が大切な理由
          48本

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          よくわからないから、海を見る

          私にはカミングアウトしたいことがある。 本当に一部の人にしか、したことがない。 した方が楽になるかも、と思うこともある。 したら後戻りできない、と思うこともある。 そして結局、いつも、しない。 そしてその内、そもそもカミングアウトしたいことなんてなかったんじゃないか、て思う。 何も、問題なんてない。抱えているものなんてない。 そんな風に思うことがある。 私は普通に、元気いっぱい笑えるし、オンラインミーティングの画面を前に普通に話せる。 普通に生きていて、普通に仕事もできていて

          よくわからないから、海を見る

          複合姓を名乗るのだ

          しばらくnoteを書いていなかった。SNSがこわかった。それはコミュニティがこわいというよりも、SNSで文章を書く時、自分が嘘をついているように思えてこわかったから。長いこと、エッセイや小説を内向きに書き続けて、限られた教室のコミュニティや公募だけで公開していた。 でもついこの前、noteに素敵なコメントをもらった。noteで読む私の文章が好きだと言ってくれた。率直にとても嬉しかった。コメントが、美しく輝いていた。 それで、単純なことに気が付いた。SNSで書く文章が嘘だと

          複合姓を名乗るのだ

          映画と子どもと地域と

          子どもの頃、なんとなく学校に行きたくなかった時、私は図書室、あるいは図書館に行っていました。太宰治全集、高野悦子、ショウペンハウエルを読んで、苦しいけれどなんとなく一人じゃない気がしたのをよく覚えています。 出だしは沈鬱ですが、なんとなく学校に行きたくない、会社に行きたくないという気持ちは、誰にでもあるもののように思います。そんな時にちょっと立ち寄れて、一人になれて、自分を受け入れてくれる場所があったらきっと、「あぁ、ここにいていいんだ」という気持ちになれる思うのです。

          映画と子どもと地域と

          評価について思うこと(芸術文化活動の社会的価値を中心に)

          子ども・教育分野と芸術文化分野の活動に取り組み、またそうした活動をする方々の伴走をしています。 この7年ほど、いくつかの劇場、舞台芸術関連組織と共に、事業・組織の評価、伴走支援を行ってきました。 そうした経験をとおした気づきについてお話させていただく機会がありました。世界劇場国際フォーラム in 可児 、inさいたまという場所です。 「文化芸術の社会的価値を伝える評価の役割~つながりの場としての評価」という題目でお話し、その内容について簡単に書いたものを提出しましたので、こち

          評価について思うこと(芸術文化活動の社会的価値を中心に)

          創造性のとびらをノックする~沖縄・読谷村で作曲教室を開催しました~

          2022年10月15日(土)、16日(日)に、「変な音を、つくってみよう!~エル・システマ作曲教室~」を沖縄県読谷村で開催しました(CoArとエル・システマジャパンの共催)。とても楽しい場であったと共に、多くの学びがあったので、背景や準備段階のことなども含め、書き残しました。文章をとおしても作曲教室の魅力をお伝えし、みなさまの創造性のとびらもノックできれば幸いです。 Born Creative震源地この言葉を教えてくれたのは、現代音楽作曲家の藤倉大さんです。大さんには、20

          創造性のとびらをノックする~沖縄・読谷村で作曲教室を開催しました~

          エイサーみたいな、執筆を

          何のために書くか そう問われれば、結論、好きだから書くのです 自分のためです 書いていると、よくわからないぐちゃぐちゃしたものが、結び目になって、にょきっと現れることがある それが面白い だから書く そして時に、読んでくださった方が、おもしろかったよ、と言ってくれる それは本当にうれしいことです 最近は、公開しない、公募するための小説ばかりを書いていて ブログやSNSを全く書かない日々が続いていました あまり推敲せずに書いたものを、そのまま完成とする行為を、意識的に控えて

          エイサーみたいな、執筆を

          贈り物、というお金の使い方

          最近贈り物にはまっている。 年末に仕事でお世話になっている方から、報告書を届けるので、住所を教えて欲しいと言われた。 仕事以上にいろいろお世話になっている人だったので、せっかくだから、沖縄、読谷のものを贈ろうと、私も住所を聞いた。 読谷のものといえば。やちむん、花織、ちんすこう、紅芋など。選ぶのはとても楽しかった。 「読谷押し売りセット」なるものの、出来上がりだ。 ついでに、いつもお世話になっている友人にも同じように送ろうと思い立った。 お金を使う時、最近はわりと

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          見栄っ張りで傲慢な自分

          見栄っ張りで傲慢な自分。そんな自分に気づかない。それは末恐ろしいことだ。 ある性格診断で、「あなたの回答は虚栄に満ち、過大評価されている可能性があります」というような診断が下されたのである。 そんなばかな、と思う。 素直な心で答えているんだもの。自分を過大評価しているのかと、恐ろしくなった。 たしかに家族に、二十代のころはよく、「どうして君はそんなにえらそうにしていられるの」と言われていた。自分ではえらそうなつもりは全くない。単純にそう思うからそうしているだけなのだか

          見栄っ張りで傲慢な自分

          91歳のエッセイ

          エッセイ教室に通っている。楽しくて、たまらない。ということを前にも書いたかもしれない。その教室の人びとから、大切なことに気づかせてもらっているので、書いておこうと思います。 エッセイ教室は、同じ先生がもう15年ほど続けているもの。そこでは一人ずつ、自分の書いたエッセイを音読していきます。先生が講評し、みなでそれを聞きます。 人の書いた文章を、一緒に読み、聞くということは、貴重な時間です。流し読みするのとも、一方的に黙読するのとも異なり、作者のリズム、息遣いをはっきりと感じ

          91歳のエッセイ

          がらんどうの気持ち

          明け方、0歳の息子が泣いた。今何時だと、スマホを見ると6時過ぎだった。2歳の娘が一緒に寝ていたので、布団から抜け出しづらい。 息子を夫に見に行ってもらおうと、メッセンジャーを開いた。 すると、なつかしい友人から連絡が来ていた。うれしい。最初のメッセージが「ひさしぶり、元気?」と窓に見える。 開くと、身体が、かたまった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ○○が昨日、突然亡くなった。大学の友人に連絡してほしいと○○の奥さんから連絡があって、連絡したよ

          がらんどうの気持ち

          手放しの年

          二〇二二年、あけまして、おめでとうございます。もう一月四日になってしまいました。 さて、今年は色々あって、いくつか大きな変化があります。 ①ケイスリー取締役を、退任します。 ②新しい会社を、始めます。 ③本を、出版します。 ①はもうすでに起こったことで、②はもうすぐ起こることで、③は今年中に起こしたいこと。 全然手放せてないじゃん、むしろ一つ手放して、二つ手に入れようとしるじゃん、と思うかもしれません。数字はそうなのですが、体積を見積もると、だいぶ手放した感じがありま

          わくわくするのが大事、と言うけれど

          それ、わくわくする?これわくわくするから、いいよね!みたいな話をかれこれ5年くらいでしょうか、もっとさかのぼれば10年近くになるでしょうか。仕事でずっと言われてきました。話題のOKR設定についても、それってわくわくする?みたいな視線で議論が続きます。 私自身はこの「わくわく」に、一抹の違和感を覚えてきました。わくわくは広がる、というけれど。そして、実際多くの人を惹きつけることもありますが。 私の違和感はどこから来るのだろうと思うと、わくわくというのはバブルに響き、肌触りが

          わくわくするのが大事、と言うけれど