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バドミントンがメジャー競技になり切れない理由(1)プレイヤーファースト

スポーツにおけるメジャー競技とは何か。

その定義は「する人」「観る人」「支える人」が十分に存在していることだという。ある調査によると日本の高校生の部活の登録者数はバドミントンは男女ともベスト10に入るそうだ。したがって「する人」という点においてこの競技は十分にメジャーと言えるだろう。

しかし問題はこの競技を「観る人」の少なさである。国内で開催される国際大会も全国大会もテレビ中継もそれを「観る人」のほとんどは「する人」とその家族などの関係者がほとんどではないだろうか。

ちなみに私は「する人」であり「観る人」でもある。高校1年生から始めたバドミントン競技歴は40年を超える。58歳となった今もゆるくではあるが地域クラブを主催して競技も続けている。一方、野球、サッカー、相撲、プロレスなどもテレビ観戦ではあるが大好きである。こちらでの私は「競技しないけど観る人」だ。

日本のバドミントン界がメジャーと言い切れない最大の理由は「競技はしないけど観る人」の人口がほぼ皆無に近いことにある。少なくとも私の知人にバドミントンはしないけどテレビ中継を熱心に見る、とか会場に行く、という人は一人もいない。

世界バドミントン連盟では過去数十年に渡り、幾度ものルール改正の議論が繰り返されてきた。いつもその論点は1ゲームの点数を少なくするという案に対する是非であった。1ゲーム21点×3ゲームマッチはテレビ中継との親和性が悪いのだ。1つの試合が30分で終わることもあれば1時間半を超えることもある。またゲーム内で点差が開いてしまうと勝負としての見ごたえは失せる。

それに伴い1ゲーム7点×5ゲーム制、あるいは11点1ゲーム×3ゲーム制などの実験は国際大会でも行われてきた。しかし最終決定はいつも同じであった。「現行の21点×3ゲームを継続する」。そしてその時の決定理由は毎回「プレイヤーファースト」の立ち位置からの視点に置かれていた。

私はこの「プレイヤーファースト」という言葉と思考が大嫌いである。その言葉を使う人の視座は低く視野は狭いと言わざる得ない。これがバドミントンがマイナー競技の域を出ない諸悪の根源なのだ。もっと観衆とスポンサーに目を向けなければならないのだ。

会社経営に例えると「社員が第一」なのか。そうではない。お客様第一という視点もある。しかし一番権力を持つのは株主である。一方、経営陣に優秀な人がいないと会社はダメになるからこの層を優遇することも重要だ。顧客、社員、経営者、株主。高い視座、広い視点に立つとその重要性にランクはつかないのである。

バドミントン界の人たちはまず一日も早く「プレイヤーファースト」という言葉と決別をしてほしい。それを挽回するためにむしろここで「観る人」をファーストで競技の在り方、大会の在り方を考えて欲しい。

そして「観る人」が増えればスポンサーもつく。そして年1億を稼げる選手が何人も誕生し、本当の意味でのメジャー競技への道が開けるのである。




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