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争いをなくすには〜トラウマの眼鏡〜

あなたの周りで争いは起こっていますか?

何が原因でしょうか。

今日、私の好きな美容家さんが言っていました。1日の終わりに、今日も無事に終えていくということが幸せだと。

本当にそうだと思いました。

1日の終わりに、ほっとできること、何の危険も感じずに眠ることができることに幸せを感じます。今、世界で起こっている戦争も、仕事の中で見た争いごとも、どうして起こってしまうのだろうかと、それらを人ごとにせずに自分ごととして争いをなくすために、書いてみます。


争いが起こる原因は


私は、争いが起こる原因を、以下のように考えています。

争いが起こるのは、相手への理解がないから。
そして自分だけが正義と思い
自分への理解、内的な観察がないから

このふたつが原因なのではないかと。

向こうが悪で、こちらが正義というように分けるのではなく、相手への理解、自分への理解と洞察力があれば争いは減っていきます。

争いというのは、戦場のことだけではなく、家族内でも職場内でも、恋人同士でも友達同士でも起こるもの。そんな身近なところから争いを減らしていくためにも、相手への理解と自分への理解と洞察力を深めていくことが求められているように感じています。


カウンセリングの現場では

私の、カウンセラーという仕事上、いろいろな子どもの問題に対して

一昔前は、

「親がダメだから」
「わがままだから」

と言う大人を多く目にしてきました。

そして今は、どんな言葉が飛び交っているかというと、時代は代わり

「発達障害」
「知的にボーダー」
「愛着に問題があるのでは」などという言葉が飛び交うようになって久しいです。

さて。これは相手への理解なのでしょうか。一昔前に比べて、相手への理解が進んでいるようにも、全く進んでいないようにも思えます。

そこでもう一歩、深めていきませんか?という提案です。


発達障害という言葉の弊害

発達障害という言葉によって相手を理解したつもりになってしまうという意味で、それは弊害だと感じます。

世の中に、子どもや子育ての情報が溢れ、ママ友同士でも発達障害の話をするような時代だからこそ、もう一歩先の人間理解を持っていきましょうと、同じ子ども支援者の方々に伝えたいと思っています。

* * *

あるお母さん(Aさん)の事例です。

Aさんは、我が子(B)に対して「発達障害」「特別支援」の言葉を使われるのがとても嫌で、地雷のようなNGワードでした。

先生たちがBを見ると、発達障害の特性が顕著で、さらに二次的な症状が出ていて教室にいることがしんどい様子があり、周りから見たら誰もが支援が必要な状態でした。

『Bのためにも、お母さんであるAさんを説得して、特別な支援を受ける方向に持っていったほうがいい』と、支援をしている人、誰もがそう思っていました。現に、B自身も、『僕はもう、教室にいるのは無理だから別の学校や教室に行った方がいい」と訴えています。

Aさんだけが我が子を理解できていないように見えました。

つまり、Aさんさえ変われば・・・と
周囲の大人はお母さんを説得しようと働きかけた結果、Aさんは激怒し取り乱してしまいます。さらに学校への不信感、文字や電話での攻撃になり、同時に子どものパニックも増長しました。

つまり、争いが起きたのです。

*  *  *

相手を理解するときに
「あの子は、発達障害だから」

と思うことで、一旦理解できたような気持ちになるのですが、私たちは、もっと心についてを知るべきで、そのために「トラウマ」というキーワードがとても役に立つということを、ぜひ一人でも多くの子ども支援者に知ってほしいと思っています。

お母さんの心を、トラウマ反応としてみる

お母さん、Aさんは、どんな状態だったのでしょうか?

中には「あのお母さんも発達障害だから」と理解している方もいました。

それは間違っていないようにも見えました。というより、おそらくそうなのでしょう。けれど、繰り返しになりますが、理解したつもりになり「ではどうするの?」というところに考えが及びません。対応につながらないのです。

そこで、「発達障害」というメガネを外して、今度は「トラウマ」という眼鏡をかけてみます。

本当ならば、何もメガネをかけずに人を見ることができたら、素敵ですね。(そして、それを目指していますが)

一旦メガネをかけてみることで、見えてくることがあります。支援者にとってそのメガネは、不安や焦り、怒りなどの感情から自分を守るためのゴーグルの役割を果たしてくれることもあります。

トラウマの眼鏡をかけてみたら


トラウマのことを、『心のケガ』というふうに呼ぶことがあります。すると、相手の身体で何が起きているのか?感情面や認知面で何が起こっているのか?どうしてそのような行動をとらざるを得ないのかが見えてきます。

注意しなければならないのは、トラウマという言葉に反応して「かわいそう」とか「深刻・・・」などというような受け取りはしないように。あくまで、客観的に、冷静に、何が起こっているのかを見る眼鏡だということを強調しておきます。

子どもたちにも、発達障害という枠組みだけではなく、「心のケガ」を持っているかもしれないというまなざしで、子どもの育ちに目を向けると

『誰が、誰に、どのタイミングで、どのように関わったらよいか』

これが、明らかに見えてきます。

争いをなくすために、相手を理解しよう、自分を理解しよう、洞察力を深めようということと、そのために、発達障害を超えた理解のために「トラウマの眼鏡をかけてみる」ご提案でした。

スクールカウンセラーとして子どもの心の現場にいると、日々いろいろなことが起こります。求められているケースの対応力も年々上がっているように感じています。

・子どもを理解する
・親を理解する
・先生たちを理解する

その上で、
・カウンセリングやコンサル
・心理教育、時に緊急支援に入る

・そして自分自身のケアをする

さまざまなことが求められ、本当に難しい職業だなと思うこともありますが、やりがいのある仕事だったり嬉しい瞬間のある仕事でもあります。

何より、子どもの現場というのは、常に自分自身が育てられている感覚にもなるものです。

私が20代の頃は、スクールカウンセラーも導入されてから間もないのでなかなか相談できるところが少なかったですし、今でも現場のことに精通していながらトラウマのことにも明るい方となるとほとんどいません。

私は運良く先生や先輩方に恵まれて、学ぶことができました。そして何より、出会った子どもたちや親御さんたちとの共同作業で見えてきたものがあります。

これからも現場第一主義でありながら、多方向から立体的に支援ができる人を育てたい、経験と知識を共有したいと思っています。


トラウマインフォームドケアとは


子どもの支援をする人たちが、トラウマの知識や対応の仕方を身につけて、援助が必要な人たちに「トラウマがあるかもしれない」という目線を持って対応する支援の考え方を『トラウマインフォームドケア』と言います。トラウマインフォームドケアは、何が事件や事故にあった時にも役立つ考え方です。

今日のテーマは「争いをなくすには」ということで、戦場の争いが鎮まることを祈りながら、私たちは身近で起こる争いを鎮めていきましょう。

発達障害だから
  知的にボーダーだから
  愛着に課題があるから

この理解だけでは、複雑なケースはむずかしいです。

  だから、洞察力を磨こう。
  相手への理解を
  自分への理解を深めよう。

そのためのトラウマインフォームドケアです。


近日中では、子ども支援者向けの
2023年10月21日(土)11時〜オンライン定期相談会にて、トラウマインフォームドケアを取り入れます。
https://vision-of-heart.com/


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