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読書レビュー #3:住野よる 『君の膵臓をたべたい』

気がついたら7月になってしまった。
俗にいう社会人なるものになって、3ヶ月が過ぎた。102日目、24 × 102 = 2448時間、2448 × 60 = 146880分、146880 × 60 = 8812880秒...。
同じ時間でも細かく考えるほど、長く感じません?(締め切りからの逃避)

さて、今回も読者レビューです。

1. 作品紹介

(詳細なあらすじは、リンク先をご覧ください)
住野よるさんのデビュー作で実写映画化、劇場アニメ化もされました。
原作小説と映画やアニメは、少し話の流れが異なるみたいですね。

趣味は読書、積極的に周囲との関わりを求めない「僕」
明るくていつもクラスの中心にいて、でも実は膵臓に大病を患っている「桜良(さくら)」
正反対の性質を持つ二人が出会い、お互いが変わっていく日々が綴られています。

2. 読書レビュー(ネタバレ注意)






本当に桜良は死ぬのか?と思うほど、この小説は軽快に進みます。
もちろん、最後には桜良は亡くなってしまうんですけど。でも、その最期も良い意味で予想が裏切られる(察しの良い人は想定内なんですかね…)。

この小説で描かれている日々は当たり前のことなんだろうなと思います。
余命宣告されると、あたかもその日までの命は保障されてるように感じるけど、そうじゃない。

僕は、残り少ない彼女の命だけは世界が甘やかしてくれると信じきっていた。
もちろん、そんなことはない。なかった。
「君の膵臓をたべたい」、双葉文庫、p. 256

どんな状況でも私たちは、未来の訪れは確定していると無条件に信じてしまう。そして未来に、今隣にいる人は必ず居る、会えると思ってしまう。
だから、二度と会えなくなって初めて、伝えそびれたことを思いついて、後悔してしまう。

死んだことがないので死が具体的にどうとかはわかりませんが、
会えなくなるっていうのが死ぬってことなのかなって思うようになりました。
突然の永遠の別れを受け入れるためにはきっかけが必要で、「僕」の場合は共病文庫を読むことだったのかな。
かつて桜良と過ごした空間を「親友さん」と巡りながら、「僕」はどんなことを考えたんだろう。「親友さん」と友達になるための道を歩きながら、隣にいない桜良に対してどんなことを思ったんだろう。
日常の中で、桜良と過ごした日々がどんどん遠い過去になってしまうのは寂しくなかったのかな。

3. 「名前」について思うこと

この世に存在するものには、基本、名前がつきます。
もちろん人にも。
この小説では、小説ならではの表現で「名前」が持つ意味というか、「名前を呼ぶ」ことに向き合っている気がします。
最後まで、「僕」の名前が出てこないのに違和感がない書き方はすごいな...。
映像で見たことある人もぜひご一読いただけたらいいな、と思います。




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