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ネイルが繋げてくれたおばあちゃんの笑顔

福祉ネイリストとして南相馬で活動し、素敵な素敵な人たちの繋がりで、私は一人のおばあちゃんに再会することができました。

以前お試し会でネイルをしに施設に行かせて頂いた時に、初めてネイルをさせていただいた方。そのおばあちゃんは私と再開する約3か月もの間、そのネイルを落とさずに大切に残しておいてくれました。

認知症を患っているこのおばあちゃんは、私のことを覚えている、ということはありませんでしたが、恥ずかしがりながらも、ネイルを再びやらせていただくことを了承してくれました。

私は認知症高齢者の方にネイルが与える影響に関して研究をしたくて、被験者になってくださる方を探していたところ、こちらのおばあちゃん・ご家族様が快く了承してくださったのです(お写真の掲載に関しても了承をいただいています)。

このおばあちゃんに関わらせていただいた期間は約4か月。ネイルをさせて頂いたのは2週間おきに計4回。

口数は多くはなく、お顔もうつむきがちなおばあちゃんは、デイサービスに行く以外、ほとんど自室でテレビを見ながら過ごされています。始めは、「私がネイルなんて…。」と言いながらも、気になる色を選んでくれたり。

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そんなおばあちゃんは、本当はお話することが好きだったんだと思います。生きがいだった畑仕事をして、近所のおばあちゃんたちと何気ない会話をすることがきっと日常だった。

だけど、東日本大震災の津波で避難・引っ越しを余儀なくされました。今は周りに顔なじみの人はいない、好きだった畑仕事もできなくなってしまった。きっとそういった環境が認知症へと繋がる要因の一つとなったのではないでしょうか。

4か月に渡って、このおばあちゃんのご自宅に訪問させていただいて、毎回たった20分間ネイルをしながら、のんびりと他愛もない話をしました。

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「もう友達も近くにいないから」

「服は津波で全て流されてしまったから」

どことなく、もう何かを諦めているような、下向きな発言が多かったけど、

最後にネイルをさせてもらった日。そのおばあちゃんがふと、

「やっぱり、畑やりたいなぁ。」

と初めて心の中にあった本当の自分の想いを、私の目を見て伝えてくれました。その時のおばあちゃんの声や表情はとても明るくて、すっきりした表情をしていました。

ネイルをして爪をキレイにすることだけが大切なのではない。

ネイルを通して、人の温かさに触れ、何気ない話をする。そんな時間が大切なんだなと、改めて実感しました。

この感じているネイルの可能性をちゃんとカタチにしたいなと思いますし、おじいちゃんおばあちゃんにやっぱりもっと笑っていてほしい。

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私の所属する日本保健福祉ネイリスト協会では、認知症高齢者に対しての彩爪介入(療法)として新しいのプロジェクトが始まろうとしています。

ありがたいことに、そのプロジェクトに関わらせていただいて、進めていくことになりました。

福祉ネイルの未来は明るい。これからの挑戦が益々楽しみです。




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