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上巻は爽快、下巻はひたすらに涙した

燃えよ剣 司馬遼太郎

恥ずかしながら、司馬遼太郎さんの本を初めて読んだ。感想は、最高。歴史小説はほとんど読んだことがなかったものの、とても好きな感じの文体で、物語の部分と司馬さんが話してくれてるような部分があって、その割合も絶妙だし、とにかく好きだった。そして沖田総司に恋した。

それはさておき、まず、どんな話かというと、この『燃えよ剣』という本は「新選組」のお話。主人公は土方歳三。

土方歳三さん、めちゃ強い。そしてなんかたまに可愛いところがあって、それがとても良い。その可愛いところを引き出してくれるのが沖田総司。

沖田さんは年下だから可愛がられてるんだろうなぁ、と読み進めながらしみじみ感じた。そして、喋り方も可愛い。なんか間がある感じ。ほわわんとしている。文を読んでるのに何故こうもイメージできるんだろう?司馬遼太郎さんはすごいなぁ。

上巻は新選組が結成されてイケイケの時代。下巻は戊辰戦争…ただひたすらにつらい。下巻は結構泣けるシーンありました。

上巻は、前半の土方さんと沖田さんで土手に戦いに行くシーンが好き。戦う前にお腹痛くなって、一旦2人で用を足すところ笑えるし、土方さん強いけどめっちゃ返り血浴びまくってるし、泥だらけになってるから、帰る時によし着替えるぞ!って言ってるのに、沖田さんは全然汚れてない(笑)
強いだけじゃない、綺麗に仕事する沖田さん…。

土方さんが俳句読むと、小馬鹿にしてる沖田さんもよかった…。これは沖田さんが年下だからいいんだろう。同い年くらいだとこんなにのほほんとした関係にはなっていないように思える。

下巻に入り沖田さんが寝込むようになってきてからは、もう私の涙腺はゆるみっぱなしだった。

「おれが、ーー総司」
歳三はさらに語り続けた。
「いま、近藤のようにふらついてみろ。こんにちにいたるまで、新選組の組織を守るためと称して幾多の同志を斬ってきた、芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎、……それらをなんのために斬ったかということになる。かれらまたおれの誅に伏するとき、男子として立派に死んだ。そのおれがここでぐらついては、地下でやつらに合わせる顔があるか」
「男の一生というものは」
と、歳三はさらに言う。
「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」
「私も」
と、沖田はあかるく言った。
「命あるかぎり、土方さんに、ついてゆきます」

最後の台詞、「、」の感じが沖田さんだなぁと。弱ってる感じもそこから感じ取れて悲しくなる。でも、沖田さんっていつも"あかるく"言う。それがまた切ないよなぁ…。
鬼の土方歳三が、束の間見せる人間らしさというか…。照れたり、怒ったり、心配したり。この2人の間には、そんな温かさがあって好きだった。

土方さんは本当に仲間思いである。新選組結成当初から一緒にいた仲間を、蝦夷地で死なせるわけにはいけないと江戸に返したり。

沖田に似ているからという理由で、土方さんの小姓となった市村鉄之助も、土方さんの義弟の家に行くように命じて箱館から脱出させている。
その時に渡したのが、刀と自分の写真とか…らしい。

あの有名な写真は、多分このとき渡したもの。よく無事に帰ってくれた、市村鉄之助さん!!

本当にいい話だった。最後の最後、土方さんの夢の中で近藤さんや沖田さんが出てきた時、もうめっちゃ泣けてきた…。仲間たちはいつもそばにいるんだねぇ。悲しい結末だとわかっていても、私は絶対に、またこの本を読むと思う。



〜余談〜
私は歴史があまり得意ではなく(嫌いではない!)、学生時代からどうも内容が頭に入ってこない。
通訳案内士を目指しているのだけれど、2年連続で歴史の試験が不合格で1次試験を通過できずにいる。

今年の目標は、1年で50冊以上本を読むこと、しかもジャンルに拘らない!ならば少し苦手意識のある歴史小説こそ読まなきゃ!!てことで、司馬遼太郎さんのを読んでみよう。てことでこの本を読むことに。

『龍馬がゆく』はどうやら8巻まであるらしい。長い。
『坂の上の雲』こちらも8巻。長い。

さすがに司馬遼太郎ビギナーの私が、いきなり8巻ぶっ通しで読めるかなぁと思い、『幕末』か『燃えよ剣』で悩みました。
が、中学生で読みたいおすすめの本・新潮社の100冊、どちらにも選ばれていたし、ちょうど映画化もされるということでこの本に決めました。

土方歳三、35年間の生涯のお話。よかった。




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