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あなたの心に残っているデートは?

All small things 角田光代

心に残っているデートは?そう聞かれたらどんなデートが思い浮かぶだろう?

この本は、いろんな人のいろんな形のデートが出てくる。それは本当にふとした瞬間の幸せという感じで、他の人からすると地味なデートかもしれない。

でも、実際に自分に置き換えてみると、思い浮かぶのはなんてことないある一日だったりする。

私は1週間ほど前に旦那の実家に引っ越した。2年くらい住んだお気に入りのマンションともお別れ。2人暮らしなのに3LDKに住んでいた為とにかく物が多すぎて、引っ越しはそれはそれは大変で、退去日までの数日は睡眠時間2〜3時間で死にそうな日々だった。

退去日の前日。片付けが終わらず、いつの間にか朝の5時になっていた。(私はそのまま仕事だよ〜)大量のゴミ袋を抱えて、マンションのゴミ出し場に向かう。

マンションのエントランスを見て、旦那が「2人で物件探しに来た日を思い出すね、すごいワクワクしてた」とポツリ。

なんだかすごく心の奥がジーンとした。私もその日のデートはすごく心に残っていたから。

転勤で大阪に行っていた旦那(当時は彼氏)が仕事を辞めるということで地元福岡に戻って来ることになり、一緒に住むことになった。それなら早速物件を探そうということで、一旦帰省して久しぶりにデートをした。

遠距離中の彼氏に久しぶりに会えて、さらに数ヶ月後には結婚しようと思っていたので気分がめちゃめちゃ高まっている。その上、二人で住む家を内覧するなんて、とんでも無く楽しいに決まっている。

ここにソファを置いて、ここは2人の部屋で、キッチンに2人で立っても広いね!なんてはしゃいで、お気に入りの物件に出会い、その場で即決した。

駅まで8分って書いてあるから、実際に歩いてみよう!と夕暮れの街を2人で歩いた。その日は月がまんまるで大きくて、月を見ながらゆっくり駅まで歩いた。そのせいで15分近くかかったんだけれど(笑)

その日のデート、とても心に残ってるなぁ。物件探しをしたことより、月を見ながらゆっくり歩いたこと。あっという間に1日が終わって、まだ帰りたくないなぁなんて思いながらゆっくり歩いたこと。でも、来月には一緒に住めるし早く時間が過ぎて欲しいかも…なんて思ったり。


引っ越しの片付けが終わって、ガランとした部屋を見て、2人で頭を下げた。2年間ありがとう。下に降りて、エントランスを見ながら、また頭を下げた。

私もすごく心に残ってるデートだったから、旦那も思い出してくれていたことにキュンとなった…というなんだか惚気みたいな話でした。

ドラマティックな展開だったり、大事件だったり、そんなことが起こらなくても、心に残るデートや忘れられないデートはある。そう気づかせてくれる、自分の思い出を蘇らせてくれる、そんな一冊。また読みたい。

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