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二項対立の先の、第3の道を探すことで広がる未来#「Third Way」読書めも

久々にマザーハウス、山口絵里子さんの著書を読んだ。

マザーハウスを知ったのは、もう10年以上前。日経の折り込み紙で特集されていた記事を読んで、自分と同じくらいの年の人が、壮絶な体験をしながらもビジネスをしている!と、衝撃を受けた。

バングラデシュの大学院?そこから起業?机上の空論を、実際のビジネスに落とし込もうとしている彼女から目が離せなくなった。代官山にお店ができた時も、お店に行ってジュートのバッグを買い、お客様イベントやマザーハウスカレッジにも足を運んだ。

もう作られていないけれど、ネパール産のワンピースは今もお気に入りで、出産前はよく着ていた。授乳中だから着れなくて、さみしい。

愛媛に来てからは実店舗が遠くなり、足は遠ざかっていたのだけれど、今回久々に彼女の著書を読んだ。控え目に言っても、めちゃめちゃよかった。

まず、言ってることが創業当時から全く変わっていない。”途上国から世界に通用するブランドをつくる”、という理念を、本当にコツコツと積み上げている。もうすがすがしいくらいに。

マザーハウスの商品が多くの人を惹きつけるのは、商品が産まれる背景や、それを支える哲学に共感するからだと思う。なんというか、マザーハウスの商品を身につけていると、気分がアガるのだ⤴︎。

本の趣旨は、サブタイトルにもあるように「第3の道の作り方」だ。

男と女、先進国と途上国、都市と農村、組織と個人、家庭と仕事、理想と現実。2項対立で語られがちなテーマについて、別のやり方(第3の道)を探してみない?私たちはこんな感じでやってるんだけど・・・と、問いかけてくる。

この本を読みながら、私は自分自身を振り返らざるをえなかった。というのは、私自身、かなり真剣にマザーハウスに転職しようか悩んだ時期があったからだ。

私は当時、環境を守るというミッションを掲げた財団法人に勤めていて、経済と環境という2つの軸の間で悩んでいた。環境を守りたいけど、どうやって守る?、どうやって稼ぐ?、そんな問いにしっくりくる答えを見つけられずにもがいていた。

だからこそ、ビジネスを回しながら新しい道を切り開いていくマザーハウスの姿に強く共感した。本の内容にあるとおり、助ける・助けられる、途上国・先進国という、従来の考え方の延長ではなく、第3の道を模索していたからだ。

私が肌身離さず抱えてきたテーマは、「社会性とビジネスの両立」。相反する概念と思われがちなこの二つを、いかに共存させ、お互いに高めていくかという挑戦の連続が、私の13年間だったと言ってもいい。

結局、私は地方へ移住して、自分たちで社団法人を立ち上げる道を選んだのだけれど、本を読み終え、改めて、自分たちなりの第3の道を追求したいと心から思った。

と同時に、甘えも浮き彫りになったというか・・・。心のどこかで、伝わる人に伝わればいいという考えに安住していたようで、背筋が伸びた。

人(の考え)はそう簡単には変わらない。けれど、関わりしろはもっと増やせるはず。自分たちを追い詰めない健やかなやり方で、裾野を広げていきたいと考えている。

社会性とビジネス、環境と経済、個人と組織、仕事と子育て、都市と農村。取り組みたいテーマは色々ある。マザーハウスのものを身につけると気分がアガるように、自分たちの軸はブラさず、「なんかいいね」と思ってもらえるモノ・コトを増やしていけるといいなあ。

ちょっとずつ仲間を増やしながら、コツコツと第3の道をつくっていきたいと思う。

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