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本が文化つくり、歴史を変えた

モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語を読んだ。

イタリアの山深い村から、本を担いでイタリア全土を縦横無尽に売り歩いた人たちの物語だ。

本を売り始めたきっかけは1816年にまでさかのぼる。

もともと資源に恵まれていなかった村は貧しく、村の特産品である栗などを売り歩くことで、生計をたてていた。

しかし、この年は夏が来ず、各地では天変地異が起きていた。

売る農産物が無くなった村の行商人たちは、祈禱入りの絵札や生活暦をかごに入れて歩き出し、飢餓に苦しむ人たちへ届けて励ました。

その後、他国の支配から独立を望む統一運動が活発化し、それまで活字に触れる機会がなかった人からも、情報が求められるようになった。
そうして、本を売り歩き始めたと言われている。

行商人たちは本を広めることで情報を伝え、文化をつくり、歴史を変えた。時の支配者たちは、思想を書いた書物が民衆に届くことを恐れ、禁書に指定して取り締まるほど、貧しい村の行商人たちの本を運んで売る力を恐れていたようだ。

正しい知識を持った人の行動は権力者にとっては脅威だ。その流れを支えたのが階級の低い行商人、というのは皮肉だけれど希望でもある。

彼らはのちに、イタリアの各地で書店を開くようになる。店の常連さんから誘われて、温泉休暇へ出かけた際も、休暇先の温泉で本を売っていたようだ。なんて、真面目!

最近も、蔦屋家電のように、家電など、ライフスタイルと一緒に本を売るという新しい売り方が注目を集めているけれど、本屋が出かけていくというのも新しいスタイルだし、どこでも売り場になるのかもしれない、という気さえしてきた。

売るのが好きなのと、読むのが好きなのは別ものである。

自分は読まずに、奥さんに本を読んでもらい、要点を聞いて本の核心を見抜く。そしてお客さんには、読みどころを端的に話して、買わずにはいられない気持ちにさせてしまう、そんな店主もいたそうだ。まさに売ることの達人。

私の本好きは、「売るのが好き」な人の引き出しやホスピタリティで出来上がってると思う。だからAmazonも使うけど、きっと本屋さんへ行くことはやめないだろう。

本があって良かった。
ぜひ、いろんな人に手にとってみてほしい。

雰囲気が伝わるweb記事もあるので、こちらもご参考に!

本の行商人の子孫たち

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