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ないものが欲しい!

今、息子は車にご執心である。
国産・輸入車全カタログ的な雑誌を与えたら隅から隅まで食い入るように眺める毎日だ。そんな自動車大好き息子くんの今一番の不満は我が家に車がないことである。
 
クラスで車の所有者を調査して、だれそれ君ちはステップワゴン乗ってるとか、アルファード乗ってるとか、挙句の果てに担任の先生にまで聞いて、先生はN BOXだったといちいちぼくに報告してくる始末だ。
 
当然ながら、うち以外の全員が車を所有しているわけではないが、ないひとは眼中にないので「うちだけがない」と思い込んでますます不満を抱くのであった。
 
ああ、こういうこと、ぼくがこどものころもあったなと思い出した。
 
自分が欲しいものをほかのひとが所有していると羨ましくて仕方がない。それはミニコンポだったり、ビデオデッキだったり、カメラだったり色々だった。ぼくは昔から車に興味がなかったから、車が欲しいと思ったことはなかったけど、考えていることはぼくも息子も変わらない。変わらないなあ。
 
ないものが欲しいとき、ひとはあるものの有り難さを感じないものである。と大人になってわかるようになった。
 
それがたとえ他人よりもよいものであったとしても、それがあるからいいじゃんとはならない。それはそれ、これはこれで今現在ないものに対する執着心を減じる理由にはならないのだ。
 
だから、いくらいってもダメ。むしろ言えば言うほど彼の車への思いは強くなる一方だ。
 
ぼくはその興味がいつまで続くのかなと思ってみている。
これまでだってそうだった。ポケモン、ドラゴンボール、恐竜…。息子は興味を持つと燃え上がるように好きになり、しばらくして燃え尽きるとすっかり興味を失うのだ。そして新しいものへと向かっていく。
 
ぼくもそうだったし、そういう子どもは少なくないだろう。
好きでいる間は一生飽きることがないと言い切る。確かに、今この瞬間においてそれは真実なのだ。
 
だからぼくは言う。そんなに好きならとことん追求しろ。徹底的にオタクになれ、と。

トミカで心の隙間を埋める息子。好きな車種はミニバンとコンパクトカー。

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