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本屋のない街


子どもの頃、読んだ本といえば
ほとんど図書室や図書館の本だった。

それから集まってきたお下がりの本。

あまり裕福な家ではなかったので
あまりおもちゃなども買ってもらえなくて
本もあまり買ってもらえなかったけど
おもちゃよりは買ってもらえるので
時々書店へ親と一緒に行くと交渉して
1冊だけとか3冊までとか決められた冊数を
並ぶ中から時間をかけて選んでた。

気になったけど買えなかった本は
次に来たときにはそこにもうなくて
正確なタイトルも何もわからず
探すこともできなくなった。


その頃、友達やひとりで行くときに通っていたのは
当時地元では珍しかったファーストフード店と
レンタルショップなんかが一緒になった
規模はとても小さな書店だったのだけど
当時の自分たちにとって街でいちばん
オシャレな感じのするところだった。


親と隣の市に出かけると
少し広いチェーン店があって
新刊書店といえばそれが全てで
修学旅行で都市の大きな書店に行った時
時間が足りないと思ったのを覚えている。


古本屋も住む街にはしっかりした店らしい店はなく
民家のような古い建物が古本屋であることを
中学に入った頃くらいかに知って
ときどき行ってはおこづかいで
新刊書店ではみない古い漫画を買っていた。



古本もやっぱり隣の市まで行けば
ちゃんと店らしいところがいくつかあって
新刊書店とともに寄って欲しいと
親にねだって連れて行ってもらうところだった。


大人になって活動する地域が変わって
本屋に行くことも本を買うことも
特別なイベントでも難しいことでもなくなっていた。



だけど、久しぶりに活動範囲が狭くなって
本屋に行くのも本を買うのも簡単ではなくなった。



それどころか、あの頃通っていた書店は
古本屋を含めてほとんどなくなった。


隣の市のチェーン店だけはまだあるけれど
住む街にあったものはどちらも残っていない。


欲しい本がなくても注文出来る本屋があればと
もっと古いその書店が出来る前からあった
住む場所からは中心部をこえて反対側にある
幼稚園とか低学年くらいの時には
行っていた記憶のある書店を見に行ってみたが
政治団体のようなものの集会所みたいになっていて
机と椅子が並んでいる空間しか外からは見えなくて
店内には以前のように本は並んでいなかった。

書店受取が出来る注文サイトの受取書店には
まだ表示されてはいるようなのでもしかしたら
完全廃業はしていないのかもしれないけれど
そこはもう本屋とは呼べない空間であって
注文できてもそこで受けとる意味はない気がした。


隣の市の書店は通うには車での移動という
交通手段がない今は少しアクセスが厳しい。


そうなると電車で1時間くらいかかるところが
いちばん確実に通えるかもしれないという状況。


その駅なら歩ける近距離に
いくつかある程度の規模の店がある。


ただ、どこも全国チェーンで
注文してでも買うならローカルチェーンか
個人商店がいいなと思っていたので
いまだにそこを通して取り寄せはしていない。


前に調べた時は地元老舗的な店があったのだけど
この春店舗を閉鎖して教科書販売などのみ残し
事務所としての営業に変えてしまったそうだ。


あとは新刊も古書もあつかう
オシャレカフェつき書店もあったけど
行ってみてこれも違うと思ってしまった。

本をどこで買ったらいいのだろう。



住む街には本屋はない。



大きな書店がひとつの地域に集中していても
今後本を買いやすくなることには繋がらない。


微妙に距離がある書店は通って買うには厳しい。



欲しい本を出している出版社も半分くらいは
自社通販をしているからそこで買えば
出版社にはお金をかけられるけど
やっぱり買いやすさには繋がらない気がするし
半分くらいは自社通販もやっていない。


アマゾンや大手書店の通販も
同じような理由で出来たら使いたくはない。


なるべく本屋で手に取りたいし
なかったら身近な普通の本屋で注文したい。


欲しいのは都市部の大型書店でも
オシャレなセレクトショップでもない。


普通の街の本屋がいい。


小学生から大人まで
自分で通える身近な本屋。


けどもう住む街にはないし
いろいろな街でどんどん減っている。





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