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楽そうだと思ったらとんでもなく熱血だった部活に入った話 その1

さて、何を書こうか。
ということで、中学生時代の出来事でも書こうかと思う。
気分転換のために書き殴る、需要と供給は無視するスタイル。
オチも何もない。


……書く練習やからええねん。

中学一年生 4月ごろのぼく


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野球ではキャッチャー。サッカーではキーパー。
サイズがないのでセンス皆無の私服。
給食を食べるのは誰よりも速いが、マラソンでは女子より遅い。

アニメや道徳のドラマに出てくる「クラスに一人は必ずいるデブキャラ」、それが僕だった。

「さすがにこのままではまずい、命すら危うい」
とうすうす感じていたので、中学校に入れば痩せようともくろんでいた。


「部活に入れば痩せられるかも」


そんな根拠のない希望を胸に、中学校入学。
気のせいか上級生は皆、スマートに見えた。

なんだかんだ面倒なオリエンテーションが済み、いよいよ中学生生活が本格的に始まる。


「さて、どの部活にしようかな」


たいていのデブキャラはそうだと思うが、面倒なことや疲れることが嫌いだ。
もちろん僕もそう。
なので、「できるだけ楽そうな部活」というのを一番の条件として挙げていた。
この時点で「痩せる気あるんかい」という感じだが、そんな気持ちの持ち主だからこそ、特注の制服に身を包まなければならないほど太ったのだ。

そんなだらけた人間だが「痩せたい」という気持ちに噓はなかったので、運動部に入るとだけは決めていた。


できるだけ楽そうな運動部。

そんな都合のいい部活なんて、ある?


野球、サッカー、バスケットボールは早々に選択肢から消えた。
何をどう考えてもしんどい場面しか浮かばないし、あんなキラキラした部活に僕のような運動音痴は似合わない。

その他の部活にも目をやる。
柔道部や剣道部は上下関係が厳しそうだし、逆上がりすらまともにできないのに体操部を選ぶのも自殺行為だ。


そんな僕の目に飛び込んできたのが、「卓球部」


卓球を真剣にしている方には非常に申し訳ないが、中学一年生のゆじ少年には楽そうに見えたのだから仕方がない。

「卓球部に入ったら痩せられる!これでもう変な私服ともオサラバできる!」

入部届をもって、意気揚々と卓球部が練習している技術室に向かう。

よくわからない根拠のない希望を信じていた僕は、ウキウキしていた。
スキップして歌いながら向かっていたかもしれない。
もし不審者といわれても腹を立てなかっただろう。痩せられるから。

さあ、あの校舎の角を曲がったら、僕に幸せを運んでくれる技術室だ。


「……うそやろ?」


技術室は、入部届をもっている黒山の人だかり。
ゆうに50人は超えていた。ヘタしたら100人ぐらいいたかも。まさに密。

……こんなに卓球って人気あったん?

愛ちゃんとか石川佳純ちゃんとかチョレイとか、まだ産まれてもない時代やで。

「楽そうな運動部」というパワーワードに心惹かれている新中学一年生は、デブキャラの僕だけではなかったようだ。

さすがにこれだけ人数がいたら、卓球台争奪戦に勝てず3年間ずっと外で素振りばっかりしている未来がよぎる。
ダッシュ勝平の素振りくんかよ。

シオマネキのように片腕だけ筋肉モリモリになったらかなわん。


あっさりと卓球部はあきらめた。


「ああ、もう僕には運動部は無理か。無理なのか。おとなしく家でマンガ読みながらおにぎりせんべいを食べる生活しか残されてないのか。太るやん。さらに太るやん。服が。命が。命のともし火が。でもまあええわ」


そんなことを考えながら、ふと体育館をのぞきこんだ。

……???

ぱっと見、とても楽そうに見えた。
しかも球技だ。僕は走るのは苦手だったが球技は得意な少年だ。
さらに、新一年生は見たところ一人しかいない。
ライバルも少ない、理想的な部活。

大事なことだからもう一度いうが、とにかく楽そうに見えた。


「これは、ひょっとして理想的な運動部なんちゃう?」



こうして、僕は導かれるようにバレーボール部に入部したのだった。



つづく。誰に望まれていなくても。


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