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学生団体設立から法人化へ。臨床以外から地域に貢献するキャリア 白戸蓮氏

プロフィール

青森県八戸市出身。弘前大学医学部医学科を卒業後、3年目の医師。26歳。医学部の学習サークルで2年間代表を務めた後、2020年10月に医学部の「学生団体CoCo-Cam」を立ち上げ、2021年4月より「医Café SUP」を開業。2023年5月に学生団体をNPO法人化し、副理事長に就任した。

目次

  • CoCo-Camの設立

  • NPO法人化の道のり

  • 学生代表から医師へ

  • 今後の目標

CoCo-Camの設立

ー「学生団体CoCo-Cam」を立ち上げたきっかけを教えてください。

 「CoCo-Cam」の創設は、深夜利用可能な自習室の不足と、大学の垣根を越えた学生同士の繋がりを作る場の不足という二つの課題から始まりました。

 「医Café SUP?」はこれらの課題に対し、学生に学部・学年を超えたワークスペースを提供することに加え、学生のみならず地域住民が集まる、コミュニケーションの場を提供しており、カフェ経営が地域社会に貢献するプロジェクトを立ち上げる良い機会になったのではと考えています。

NPO法人化の道のり

ーNPO法人化の過程で苦労したことを教えてください。

 NPO法人化で最も苦労したのは、メンバー自身がNPO法人という概念をしっかりと理解することでした。特に我々メンバーにとって新しい挑戦であったこともあり、NPO法人とは何か。法人化する目的。その意味を理解するまでには時間が必要でした。大きな変化はやはり社会的な信頼を獲得できたことです。学生団体よりも法的な観点で責任が生じますが、行政からの委託事業を受注できたりとより一層社会的な活動を行いやすいのです。

学生代表から医師へ

ー学生団体で代表を務めた経験が、医師のキャリアにどう役立っているか教えてください。

 医師としてのキャリアをスタートさせる上で、学生団体にしろ、リーダーシップ経験は大変重要です。団体代表としての経験は、単にイベントの企画やメンバーマネジメントに留まらず、意思決定プロセスを理解する良い機会になりました。

 医師以外の職業にも言えますが、仕事の中で様々な場面で意思決定を求められます。患者の状態や社会的背景、病院の設備に対して限られた資源の中で対応しなければなりません。患者一人ひとりに最適な治療を提供するためには、医療の専門知識だけでなく、リーダーシップやチームワーク、さらには柔軟な思考が求められるのです。

 また意思決定をする上層部と、現場の仲介役として役割を果たす場面が出てきます。学生団体の代表を務めた経験は、様々なキャラクターを持つ人々とのコミュニケーションを円滑にし、チーム内での意見の相違を橋渡しすることにも役立っているのです。最終的に、これらのスキルは患者さんへのより質の高いケアに直結し、医師としてのキャリアにおける重要な基盤となっているのではないでしょうか。

ー「医Café SUP?」の開業は、白戸さんの医師としての視野をどのように広げましたか。

 この開業で養った課題解決力を活かし、初期研修医としての職務の傍ら、勤務病院の様々な委員会やプロジェクトに参加し、長らく手をつけられていなかった課題に対する業務改善への積極的な改善に取り組んできました。

 具体的には、行政からの予算支援を受け、病院の診療時間外の使用されていないリハビリ室を活用し、民間のフィットネス事業者を導入し職員専用のフィットネスを開いたり、院内の多職種間のコミュニケーションを円滑にするために新たなコミュニケーションスキームを提案するなどの取り組みを行っております。

これらの取り組みを医師の立場からできるようになったのは、団体運営やカフェ開業で学んだことを活かしているのではないかと思います。

今後の目標

ー白戸さんの目標について教えてください。

 医療者としてのキャリアは多岐にわたりますが、診療報酬に左右されない働き方も選択肢として必要と考え、保険診療以外のキャリアも開拓していければと考えています。

 診療報酬改定により、自分がやれることに制限ができてしまう可能性もありますし、医療者が直面する制約は少なくありません。そういった意味で政策に依存しないプラスαのスキルがあるといいのではないかと思いますし、そのロールモデルを作っていきたいと考えています。


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