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広報・PRが考えるブランディングー社員全員と1on1やりましたー

ITコンサルティング会社で広報・PR(コンサルと兼任)をやっているちーといいます。
広報・PR業務の一環で企業ブランディングを考えるにあたり、昨年11月から12月にかけての1か月半で全社員と1on1を実施しました。このnoteは「全社員1on1」をやって良かったことや、やることを決めた理由、実施までの運び、広報・PR職がやる意義などをまとめたものです。

広報・PR職の方でなくとも、このnoteが企業のブランディングや組織作りに関心を持っていたり課題を感じている方の参考になれば嬉しいです。

実際やってみて良かったこと

やってみて良かったことをまとめると以下の4つです。

・自社に対する社員間での認識の一致、認識の不一致が分かったこと
・会社や仕事に対するスタンスの違い、熱量の差を知ることができたこと
・自分が認識していなかった自社の良いところを知ることができたこと
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・社員全員との関係性が作れたこと(副産物)

企画の発端

そもそもこの企画は、「ITコンサルティング」というBtoBかつ属人性が高いサービスを提供する企業の広報・PR職として、「社員ドリブンの企業ブランディングとはどうあるべきか?」という問いを立てたところから始まりました。

中小企業において「ブランディング」「組織作り」は関心を強く持たれているキーワードの一つだと思います。特に当社はITコンサルティングをサービスとして展開しているため、ブランディングや組織作りにおいて人こそすべてといっても過言ではありません

とはいえ当初、私が兼任で“ひとり広報”職についた際は、広報の基本方針において「人こそすべて」というコンセプトに至るまでの深堀りはできていませんでした。

広報業務自体まったくの未経験ということもあり、まずはコミュニティで飛び交う他社広報さんのやり方やネットの情報を調べ、それっぽく良い感じの打ち手を都度取り入れるというアクションを取っているような状況です。

が、ふとした時に

「もしかして属人性が高すぎるからこそ、中(社内)を定義(ブランディング)してから外に戦略を打ち出す流れの方が合っている‥?事業やサービス面での対外的な戦術を考えるのはその後かもしれない!」

とひらめいたことから、情報収集の切り口を変えることにしました。

情報を集め直して仮説も刷新した結果、ブランディングの基本方針として社員の考えや価値観を自社のブランディングに反映させ、対外的な広報戦略につなげていくやり方が最も有意義だと考え、この全社員1on1を始めたというのが発端です。

(また、当社は個性が強い人間の集まりのような会社なため、企業文化としても社員の存在抜きに企業ブランディングは成立しないだろうとも考えています。)

やることを決めた理由

ひとまず「中(社内)を定義するした上で企業ブランディングを考える」ことにしたものの、当初私がもやもやしていたことはこんな内容です。

自社のサービスは属人性が高いからこそ社員ドリブンでも企業ブランディングを考えたい。そのためにはまず“社員が自社をどう認識しているのか”を知りたい。でも私一人分の会社に対する認識では、所詮1/1でしかないので情報量として全く足りない。とはいえ「会社の嫌いなところ」なら雑談や飲み会でたくさん出てくるけど、「会社の好きなところ」こそ聞きたいのに話題に上がらないし‥

そこから、「話題に出ないのならこちらから聞きに行けばいいんだ!」とひらめいたのが昨年の11月。

当社は中小規模のITコンサルティング会社です。社員の大半は自社オフィスに出勤しているものの、一部の社員はクライアント先に客先常駐していることもあり、場のセッティングには少々手間取りましたが、無事予定通り12月に全員終えることができました。

実際にヒアリングしたこと

実際に社員一人一人との1on1でヒアリングした内容は以下の通りです。

・会社の好きなところ
・会社の嫌いなところ
・現在の企業文化をどうとらえているか、またそれは自身にとって望ましいものか望ましくないものか
・自身が理想とする企業文化とはどのようなものか

ヒアリング時間は約一時間。ヒアリング開始前には、あらかじめ①ヒアリング内容は全社的に内容を共有すること(特定個人を対象とした意見を除く)、②共有にあたってマスキング(匿名性を担保)することを約束した上で実施しました。

副産物としての良かったこと

当初の思惑以外のところで、後から分かったメリットもありました。それは「社員全員との関係性が作れたこと」です。

広報・PR職である以上、様々なシチュエーションで色んな部署の社員に協力を得たいシーンがあると思います。その際に、人間関係の下地があるとないとでは、スピード感もモチベーションもかなり違ってくるのではないでしょうか。(私はそうです)

さらに、企業規模が大きくなるにつれて社員全員と対話をしている人間はほぼいないと思います。仮に社長や人事担当であったとしても。
その意味でも社員全員との対話を行うことは、社内施策立案において貴重かつ有用な知見を持つことと同義だと思います。仮に直後の企画に活かせなくとも、集まった情報は後々別の施策を考える際に必ず役に立つはずです。

また、誰もが人間です。なのでどんな組織であっても、一人や二人は苦手意識を持ってしまう同僚がいるというもの。その点、今回あらかじめ“全社員1on1をやる”と明言したことで、自分が苦手意識を感じていた社員ともヒアリングする場を作ることになり、結果的に(私が一方的に感じていたであろう)不安感の払拭にも役立ちました。

以上の点から、今回の施策を通して社員全員と関係性を作れたことはかなり大きい副産物だと感じています。

広報・PR職が1on1をやる意義

広報・PR職があえて組織作り施策として全社員1on1をやる意義は、ヒアリングを受ける側にとって一定の心理的安全性を担保することです。

仮に直属の上長や人事職の人間、社長や役員等がヒアリングをする側になった場合、一定の利害関係が絡むため、ヒアリングを受ける側が話す内容はバイアスがかかった言葉になりがちですよね。

その点、広報・PR職は基本的に別部署と直接の利害関係がありません、今回はそのフラットな立場を活かせたことで、表に出にくい意見も拾うことができたのではないかと思っています。(実際自分が逆の立場だったとして、相手に本音ベースで言えるかどうかは立場と関係性で大きく変わります‥w)

全社員1on1を始める際のコツ(許可を得る前に始める)

「許可を求めるより許しを乞う方が容易い」という言葉があります。もしかすると「許可を求めるな謝罪せよ」というフレーズで聞いたことがある方もいるかもしれません。
意訳すると、“始める前に関係者全員の許可を取り付けるべく動いていたら時間と労力だけがすさまじく消費されるため、まず勝手に始めてから(事後承認という形で)認めてもらう方が容易い”という趣旨のものです。

ヒアリングを受ける側にとって、1on1はコストゼロで協力できるものではありません。間違いなく自身の業務時間を使うことになるため、今回の1on1においても、各人の業務に対するスタンスによっては一部の社員が難色を示すであろうことは想像できました。(コンサルタントはツッコミや指摘が得意な人種なので尚更です)

そのため、今回全社員1on1をやるにあたって意識したことは、あえて前述の「許可を求めるより許しを乞う方が容易い」スタイルで臨むことです。

具体的には、まず比較的私と関係性の近い社員を手始めに1on1を始め、全社員の1/3程度まで終えた段階で初めて全社的な周知(「既に始めています」&「残りの社員も順次声掛けするのでよろしくお願いします」)を行いました。(社長、役員にもほぼ同じタイミングで報告)

おかげさまで既に始めているという実績もあり、全社会議での周知(プレゼン)の際も感情論からの意見はいただくことなく、着々とヒアリングを進めることができました。

社内向け施策の肝は導入フェーズ

ブランディングや組織作りは正解がない施策であることがほとんどです。なので万人に有効な銀の弾丸はありません。
そのためよくあるケースとして、ブランディングや組織作り施策を推進する側の部署は全社(または対象部署)に

「売り上げに直結するものではなく、かつ高い効果を必ず約束できるものではないが、現状を鑑みて必要だと考えるため■■の施策をやりたい。」

と、要求することになります。
そうすると、要求を受けた部署は

「義務でないのならお金を生むものでもないし、■■の施策なんてやりたくない。本業で忙しい。」

という返答になりがちですよね。

だからこそ、施策をどう導入するか、どうやったら社員に違和感なくやってもらえるか、できるだけ意義を感じて臨んでもらえるようにするかは、施策を推進する側の工夫の凝らし所だと思います。

このnoteを読んで「全社員1on1」に興味を持ってくださった人も、企業規模によっては実施をためらうかもしれません。(仮に100人規模の場合、一人で片手間でやるとして半年コースは固いと思います)
その場合、ポイントはまず小さく始めることです。一定の役職で区切ったり、部署ごとに始めたり。

会社に対して何も思うことがない社員はほぼいないと思います。それなのに中にはせっかくの金言を心の内にしまい込んでいる人もいると思います。その言葉を掘り起こせるかどうかは誰かが「やるかやらないか」だけです。

読んでいただけた通り、全社員1on1には門外不出のテクニックも難解なツールも使っていません笑 必要なのはやる気と(プレゼンのための)簡単なスライドと、各社員と日程調整するためのチャットツールかメールだけ。

読んでくださったあなたにとってこのnoteが何かのヒントになればとても嬉しいです。

今後の課題

今後の課題は、ヒアリングして集めた内容を元にどのように仮説を立てるか、です。ポジティブな意見ももらえましたが、その倍量以上ネガティブな意見ももらいました。すべての意見を均等に扱うことは適切ではなく、あくまで企業ブランディングー広報戦略のため、どう適切にバイアスをかけ施策に落とし込むかが要だと思っています。

広報・PRもITコンサルティングも一見華やかに見えますが、中身はどれもこれも泥臭い仕事ばかり。むしろどれだけ泥臭くやり切れるかがこの仕事の醍醐味だとも思っているので、実のある施策に昇華できるよう頑張りたいと思います。

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