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BRSO(バイエルン放送響)16.06.23 コンサートの記録:バイエルン放送響のコンサート(ミュンヘン・ヘァクレスザール)

6月16日、ミュンヘンのヘァクレスザールでBRSO(バイエルン放送響)のコンサートを聴きました。

プログラム。

BRSOはバイエルン放送協会に所属している放送オーケストラです。

この日はBRーKLASSIK(ラジオ)の中継がありました。
さらにヴィデオ・ストリーム、そしてオンデマンド(br-klassik.deと brso.de)で観ることもできます。

ということで、ホールに入ると放送スタッフが。

私のお目当てはオーガスティン・ハーデリヒがヴァイオリンを弾くリゲティ《ヴァイオリン協奏曲》。

ハーデリヒはドイツ人両親のもとイタリアで生まれ、アメリカで育ちました。
神童の誉高かったハーデリヒはしかし15歳の時に事故で全身の60%に大火傷を負います。
20回にわたる手術を受け、奇跡的な復活を果たしました。

復帰後にケルンで聴いたコンサートは強い印象を残しました。

リゲティの《ヴァイオリン協奏曲》は20世紀のヴァイオリン曲の傑作の一つに入ると思っています。
世界初演は1990年11月、ケルンでした(ヴァイオリン:ガヴリーロフ、ベルティーニ指揮ケルン放送響)。
1992年にはケルンで改訂版が世界初演されています(ヴァイオリン:ガヴリーロフ、エトヴェシュ指揮アンサンブル・モデルン)。

演奏後、花束を受けるハーデリヒ。

アンコールはタンゴの名曲、カルロス・ガルデル作曲《ポル・ウナ・カベサ》。
映画、フィギュア・スケートやコマーシャルにもよく使われる曲です。

ガルデルはアルゼンチンの超有名なタンゴ歌手です。
俳優としても活躍、作曲もしています。
しかしガルデルはツアー途中、離陸に失敗した飛行機事故で焼死してしまいます。45歳でした。

今回のアンコールはハーデリヒ本人の編曲によるものでした。

《ポル・ウナ・カベサ(Por una Cabeza)》とは「首一つ」という競馬用語です。

爆発事故(ガスボンベの爆発、と以前読んだことがあります)で大火傷を負い奇跡的に命をとりとめたハーデリヒ。
飛行機事故で焼死したガルデル。

「首一つ」くらいのちょっとしたことで大きく運命が変わります。

音楽は「時間芸術」。その瞬間が過ぎると何もカタチとしては残りません。
そして次の瞬間に何が起きるかわからない。

そんなことを考えながらアンコールを聴いていると、涙が込み上げてきました。

FOTO:©️Kishi

以下はBRSOから提供された写真です。© BR/ Astrid Ackermann


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代表:来住 千保美(Chihomi Kishi)
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