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美術の話:フリーダー・ブルダ美術館の特別展『聖なる心の画家たち(素朴派)』(バーデン=バーデン)


11月18日、バーデン=バーデンのコンサートに行った折、フリーダー・ブルダ美術館の特別展『聖なる心の画家たち』(7月16日〜11月20日)を見ました。


フリーダー・ブルダ美術館。

バーデン=バーデンのコンサートはこちら→


フリーダー・ブルダ美術館は2004年に開館しました。
現代美術とフランスの作品がコレクションの中心です。

各階は階段ではなくスロープでつながっており、車椅子でも大丈夫です。

この特別展は、美術史家・批評家・コレクターであるヴィルヘルム・ウーデ(Wilhelm Uhde、1874〜1947)が1928年にパリで開催した美術展『聖なる心の画家たち』の名称と画家たちをそのまま踏襲しています。

当時と今回、作品が展示された画家たちとその(元)職業は

●アンリ・ルソー(1844〜1910)税官吏
●ルイ・ヴィヴァン(1861〜1936)郵便配達夫
●セラフィーヌ・ルイ(1864〜1942)掃除婦
●アンドレ・ボーシャン(1873〜1958)庭師
●カミーユ・ボンボワ(1873〜1970)工事人夫、印刷工

ただ、ルイについては「絵を描かせるためにウーデが掃除婦として雇った」という見方もあります。女性はいずれにしろ職業に就くのが難しかった時代です。

画家たちは、美術の専門教育を受けていない、いわゆる素人画家たちでした。
途中で仕事をやめたルソーや、定年後に絵を描くのに専念した画家もいます。
路上で作品を売っていたところをウーデに見出された画家もいます。
ウーデは彼らを援助しました。

その後、彼らは『素朴派』とよばれ、後世に大きな影響を与えました。


パンフレット。この中に美術館の情報も出ています。




ウーデの簡単な伝記が壁にありました。
表題にウーデの1930年の言葉「本当に残念だ。我々金持ちがこんなに貧しいとは」が掲載されています。


下はボーシャンの作品《アンドレ・ボーシャンのポートレート》。
彼は庭師でした。

花が緻密に描かれており、私はなぜかレオナルド・ダ・ヴィンチの《受胎告知》を
思い出しました。
《受胎告知》をフィレンツェのウフィツィ美術館で初めて見た時、宗教的なテーマを題材にしたという印象より、ガブリエル大天使の足元に広がる花々と羽根の精密さの印象が強かったからです。


上記のパンフレットの写真の3枚目にあるのは、ルソーの《飢えたライオンは身を投げ出してカモシカに襲いかかる》。
これはバーゼルのバイエラー財団が所有しています(この美術館も私が大好きな美術館で、お薦めです)。

フリーダー・ブルダ美術館は5歳から12歳までの子供たちのためにワークショップを開催しているのですが、この作品を借りていた期間、この作品が子供たちに大人気だったそうです(200 cm x 301 cmの大きな作品です)。

そこで、子供たちに作品の印象を絵にしてもらったのが、下のコレクションの写真です。


美術館を出たら、馬車がやってきました。
なんか、絵になりますね・・・。

FOTO:©️Kishi

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