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Wernigerode Festspielsommer 04.08.23 オペラ(セミ・ステージ)の記録:ヴェルニゲローデ夏のフェスティヴァル、プッチーニ《ジャンニ・スキッキ》(8月4日、ヴェルニゲローデ・リープフラウエン・コンツェルトハウス)

8月4日、ヴェルニゲローデでプッチーニ作曲《ジャンニ・スキッキ》オペラ・セミ・ステージ公演を観ました。

場所は街の中心部にあるリープフラウエン・コンツェルトハウス。ここは元々教会だったのですが、現在は一部を残してコンサートハウスとして使っています。

リープフラウエン・コンツェルトハウスを高台から見たところ。どこからでもすぐ分かります。

左側に入口があります。

プログラム。


まず前日に行われたゲネプロ(総稽古)を見ました。
ステージ上部にオーケストラがいます。
オーケストラはヴェルニゲローデ室内管。日本人の団員が二人います。

指揮者と歌手のコンタクトはステージ両脇と客席後部に備えられた3台のモニターを通します。指揮者にとっては難題です。

ステージに向かって左側の壁。

向かって右側の横壁。
最後のシーンは「ラウレッタとリヌッチョがフィレンツェの街を眺めながら愛を確かめ合う」ということになっていますが、ここではこの高い窓で愛を囁いています。つまり観客はフィレンツェの人々。

最後のシーン、ジャンニ・スキッキの「・・・このイタズラのせいで私は地獄行きです。当然の報い・・・」というセリフがあるのですが、この制作ではスキッキのことを恨んだブオーゾの親族に刺されて死ぬ、という「なるほど」の演出でした。

さて、ヴェルニゲローデは観光としては有名ですが、人口は3万人ほど。制作のための予算は多くありません。そこでステージ美術と衣裳の担当者に訊いたところ、全部で3000€くらいだというのです。驚きの低額です。
まず白いソファですが、ebayの寄付コーナーで見つけて無料だそうです。
冒頭の写真でもわかるように衣裳も凝ったものではありません。

この担当者ダルコ・ペトロヴィチはスター演出家のロバート・カーセンのアシスタントで、カーセン演出《ニーベルングの指環》(ケルン新制作)の外国公演(ヴェネチア、バルセロナ、マドリード)も手がけています。
そこで、この《指環》の《ワルキューレ》第2幕をイメージしてつくったそうです。右側のグランドピアノにスコアが載っていますが、よく見ると《ワルキューレ》のスコアです。
また、日本でもよく知られている演出家ミヒャエル・ハンペのアシスタントも務めており、白いソファーと調度品はハンペの自宅の居間に似せたものだそうです。
つまり、この美術は自分と縁の深い二人のオペラ演出家へのオマージュだそうです。

オーケストラの楽譜も指揮者が室内管用にアレンジしました。

《ジャンニ・スキッキ》の後、談笑するのは、
右から美術・衣裳担当ダルコ・ペトロヴィチ、演出のオリヴァー・クレーター、左は二人の友人である演出家エディソン・ヴィジル。

専用のオペラハウスもなく、予算も少ない、でも関わる人たちが高度なプロフェッショナルで情熱があると、とても良い制作ができるお手本のような公演でした。

FOTO:©️Kishi

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