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シーズン・プログラム 24/25 ① ミュンヘン・フィル Münchner Philharmoniker


オペラ劇場やオーケストラが来シーズン24/25のシーズン・プログラムの発表を始めています。
これから予定と解説、観どころや聴きどころ、おすすめなどを随時掲載します。
翻訳や調査、解説、知見等を含みますので、有料記事にしたいと思います(投稿の最初の部分は無料で読めます)。
みなさまの参考になれば幸いです。よろしくお願いします。

ミュンヘン・フィル https://www.mphil.de

ミュンヘン・フィルは1893年にドイツ・バイエルンのミュンヘンに創立された名門オーケストラです。現在の経営母体はミュンヘン市です。

歴代の首席指揮者にはチェリビダケ、レヴァイン、ティーレマン、マゼール、ゲルフギエフが名をつらね、あのギュンター・ヴァントがその最晩年に指揮した3つしかないオーケストラのひとつです(ミュンヘン・フィルの他はベルリン・フィルと自身が首席をつとめたNDR響)。

コンサートの本拠地はミュンヘンのガスタイク。ただ、現在はガスタイクが改修中のため、代替ホールのイザールフィルハルモニーで演奏しています。
イザールフィルハルモニーは2021年10月に完成しました。約1900席を備えたホールはモジュール工法で建てられ、仮のホールとはいえ、すばらしい音響です(音響設計は豊田泰久)。

首席指揮者は2015年からゲルギエフが務めていました。2022年のロシアのウクライナ侵攻直後、プーチン大統領と近いゲルギエフに対し、ミュンヘン市長が立場表明を要求する文書を送ったのですが、回答がなかったためゲルギエフは解任されました。なお、ミュンヘン市は1989年以来、キエフ市とパートナーシップを結んでいます。

ミュンヘン・フィルは2023年初め、首席指揮者にラハフ・シャニ(1989年生まれ)を決定しましたが、彼の正式就任は2026年秋。就任までまだあと2シーズンありますが、シャニは24/25シーズンに興味深いプログラムのコンサートを指揮します。

ミュンヘン・フィルのコンサートマスターの一人は青木尚佳。素晴らしいコンサートマスターです。

日本人音楽家といえば、ヨーロッパにおける日本人音楽家の活躍が少なくなっている現在、24/25シーズンにはピアノの反田恭平が再登場します。23年3月にラフマニノフ《ピアノ協奏曲第2番》でミュンヘン・フィルにデビュー、早くも再登場となりました。

24/25シーズンのミュンヘン・フィルのプログラムのテーマは『夢』、とくに『アメリカン・ドリーム』、『第二次世界大戦終結80年』、『ブルックナー生誕200年』です。

以下、シンフォニー・コンサートの予定とプログラムです。
この他、室内楽コンサートもありますが、ここではシンフォニー・コンサートのみとりあげます(それでも7000字を超えます)。

なお、24/25シーズン、ミュンヘン・フィルは日本・中国・ツアーも行います。その中には東京も予定されています。


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コンサートはどれも興味深いのですが、超おすすめには★をつけます。

場所は特記のない限りミュンヘン・イザールフィルハルモニー。
Isarphilharmonie
Hans-Preißinger-Straße 8, 81379 München

コンサート開始時間は特記のない限り19時30分。

なお、コンサートの情報は2024年3月現在。今後、出演者などの変更もあるかもしれません。
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⚫︎9月4、6、8(11時)日
指揮:ラハフ・シャニ
J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番 BWV1052
ブルックナー:交響曲第9番

ピアニストとしても有名なシャニが、バッハではピアノも弾きます。
ブルックナーは1824年9月4日生まれ。生誕からちょうど200年の9月4日にブルックナー最後のそして未完の交響曲第9番でシーズン開幕です。

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