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Bayerische Staatsoper 19.03.23 オペラの記録:バイエルン州立オペラ、カヴァッリ《ラ・カリスト》(3月19日、ミュンヘン・ナツィオナールテアター)

3月19日、バイエルン州立オペラのカヴァッリ《ラ・カリスト》を観ました(ミュンヘン・ナツィオナールテアター)。

プログラム。


《ラ・カリスト》は1651年11月28日、ヴェネチアで世界初演されました。

そもそもオペラは16世紀末、カメラータ・フィオレンティーナ、つまりフィレンツェの貴族、インテリ層や芸術家たちが古代ギリシャ劇の復興を目指して始めました。
現存する最古の楽譜はヤコポ・ペーリの《エウリディーチェ》(1600年)ですが、その後モンテヴェルディのおかげで飛躍的な発展を見せました。
今でもモンテヴェルディの作品は上演されますが、カヴァッリの作品上演はほとんどありません。
今回の新制作もミュンヘン初演でした(初日:2005年5月9日)。

ストーリーを簡単に説明しますと、神と人間の戦争状態で水が枯渇し、喉が渇いたニンフ、カリストは水を求めています。それを見ていたジュピターはカリストの美貌に魅了され水を与えます。カリストは女神ダイアナ(ジュピターの娘)に随行しダイアナに憧れているのですが、ジュピターはそれを利用し、ダイアナに化けて、カリストをものにします。ジュピターの妻ジュノの嫉妬もあり、カリストはジュピターに熊にされてしまいます。

ダイアナに恋するエンデュミオンなど他の登場人物たちのキャラクターも際立っていますが、大筋はこんなところです。

でも、最初の部分だけでも今日的なテーマで、面白い。

戦争で最も大きな被害を受けるのは弱い存在。
好色な権力者(男)は弱者(女)が欲しがるものを与えて純潔を奪う。
カリストは「横暴な男なんて嫌いよ。私は自由に生きるの」というのですが、これ350年以上前に作られた作品のセリフ!
カリストはダイアナに憧れ、女性共同体、同性愛の世界に生きていたいと思っています。

もうこれだけで観るものを掴んでしまうのですが、何より音楽が活き活きとして素晴らしい。

さて、今回の演出はポップかつエロス満載で色彩豊か、とても楽しめました。

以下はプログラムに掲載されたステージ写真です。




FOTO:©️Kishi

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