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古書店にて

練馬区の商店街に古書店を見つけた。古書店の入り口のワゴンには新古書がちらほらとあったけれど、店の奥に入ると天井まである書架には古書店でしか手に入らないような書籍がぎっしりと詰まっていて、沈黙する森の中に迷い込んだ気分になった。レッド・ガーランド・トリオの演奏が流れていることに気づき、呼吸を整える。欲しい本を一冊だけ選ぶことは難しい。
時間を共にして初めて、自分に似合う本がわかる。買ったものの1割あれば上等。

好きだと思った本とは一緒に眠るし、風呂でも読む。朝表紙やページは褪せてよれて膨らんでページは折れ曲がっていく。絶版の本はそうはいかない。蝶の標本みたいにそっと扱う。古書は後者。高校生の夏休みに図書館で白水社の外国文学に浸った日々を懐かしく思いだす

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