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私が伝えたかったのは、これだ!と雷に撃たれた絵本

ヨシタケシンスケさんの
『りんごかもしれない』


私の第一志望の大学は、筑波大学だった。
直感である。

色々な大学の資料をみて、想いを馳せた。

筑波大学が、なんとなく、かなり専門的な事をしていて、深く研究できる気がした。

偏差値が高かったから、単純にそう思ったのかもしれない。
ここへ行きたいと願った。

親に、大学はどこへ行きたいの?と聞かれ、
筑波大学へ行き、臨床心理士になりたいというような事を話した。

すると、

ぶっちゃけて言うと、
できれば、北海道内にいて欲しいと告げられた。


そうか、北海道にいなくちゃいけないのか、と悟った。

本当は、信州大学も気になっていたし、新潟大学もいいなと当たりをつけていた。
もし、センターで点数が低ければ、ここにしようと。


だけれど、北海道内にいる事を願われた。


だから、私には北海道大学しか、考えられなかった。
北海道で一番の大学だから。
理由はそれだけだった、それで充分だった。

塾の先生の出身校が、北海道大学だった。
経済学部で、私が行きたい文学部とは違う。
だけれど、大学時代の楽しい話を何個もしてくれた。


前期の試験に落ち、後期も北海道大学の試験だけを受けた。
費用面を考え、滑り止めも一切受けなかった。

正直なところ、前期の試験を受けた直後から入学を諦め、
浪人を希望していた。
本当に申し訳ないと思っているが、
「こんな頭で大学へ行っていいわけがない。」と感じたからだ。

良かった、自分。
その直感は正しかったと今でも思う。


浪人時代が楽しくて仕方がなかった。
なぜなら、毎日、予備校のスーパー講師の雑談が聞けるからだ。
休憩時間には、仲間とミニバレーをして、
今日のバカ話をする。

突如、大量発生したマイマイガの話に飽きたこと、
茶髪でサラサラヘアーなので、
ポニーと陰で呼ばれていた先生の話、
かたへそば粉…

くだらなくて、でも、色褪せない。
今でも思い出して笑えるし、幸せを感じる。

道端に咲いている花が綺麗で、美しくて、
自転車でしか通れないナナメの道、
今日はこのコースで帰ろうと決める。

帰り道に、爆音でカラオケする。
誰かの存在に気づいて、慌てて、一時停止する。


頬を伝う風が冷たくて、露天風呂みたいで、
ぐねぐね運転なんかしちゃったり、ね。

小学生の頃を懐かしく思って、
温かい家に帰る。

おかずが揃っていて、食べる。
あったかい。
美味しかったなぁ。

うちには、湯名人という機械があって、
24時間、お風呂に入る事ができる。

だから、朝早く起きて、
一番風呂をする。
お風呂の蓋に勉強道具を置いて、勉強していた。


世の中には似たような人がいるもので、
お風呂で勉強する用の単語帳やカードが販売されていた。
割高なので、もちろん買わない。

フニャフニャになってもいい、自前のノートを持ち込む。

気持ちよくて、1時間以上は入る。
そして、勉強もできるから、
「なんて効率がいいんだ!」と自画自賛していた。

実際、北海道大学へ入学し、本当に良かったと思っている。
楽しくて、面白くて、自由だ。便利だ。

人にも自然にも恵まれていた。

感謝している。


ヨシタケシンスケさんのプロフィールを見る。

筑波大学と書いてある。
やっぱり、面白い大学なのかも!とワクワクする。

大学にはいけなかったけれど、
ヨシタケシンスケさんの絵本を見て、

「これだ!」と感じて、

やっぱり、昔の直感は正しかったのだと思う。
でも、行きたかった学部とは違うので、
本当の事はわからない。

ただ、そういう繋がりに面白みを感じるのだ。

筑波大学への進学は諦めたけれど、
別の繋がりへ昇華した。

ヨシタケシンスケさんの本

大好きだ!

あの絵が可愛いし、
オチもいいし、
くねくね、こねこね考える姿が愛らしい。

ヨシタケシンスケさんの眼に深淵さを、
真理を捉える眼を感じるのだ。

今は、子どもと一緒に絵本を楽しむ日を恋い焦がれている。

そして、

「りんご!」と楽しそうに笑う娘の声をきいて、
とても、とても、癒されている。

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