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戦略的効率的に転職活動を進める方法について、元戦略コンサル・元CSOが考えて実践してみた内容のまとめ

このnoteは、社会人になって何年か経った人が新たな活躍の場を求めて転職活動をする際に、より自分に合った仕事に、戦略的・効率的に出会うためのアイディアとして、
元戦略コンサルタントで元スタートアップCSO(最高戦略責任者)の私が、人生で2回目の転職活動で取り組んだ内容をまとめたものです。

全ての内容とサンプルファイル、テンプレートファイルを無償で公開してあります。
これは、記事を読んだ誰かが自分に合った仕事に出会うことによって、社会全体がよりよくなったらいいなと考えているためです。

記事やファイルによって発生した損害損失や失敗の責任は負いません、転職できなかった、年収が下がった、配偶者に見限られて離婚した等の苦情も一切受け付けませんので、自己責任によって判断してご利用ください。
職種やそれまでのキャリア、住んでいる場所などの要素によってその人に合った転職活動の進め方は異なりますので、参考になりそうな部分だけ、参考にしてください。

(1) 自己紹介資料を作って公開する

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 新卒での就職活動の際に自己紹介資料を作る人は多いようですが、経験を積み自分にできることが明らかになってきた中途採用の面接の為にこそ、自己紹介資料を作っておくべきでしょう。
 資料を作ることは形式的なTipsだと思われるかもしれませんが、転職活動において自分の現状や考え方、強み弱みを整理しておくことはとても重要であり、資料作成のプロセスの中でその整理をじっくり行うことができます。

 自分についてプレゼンするのが不得手な人でも、資料があることによって(少なくとも資料がない場合よりは)うまく説明できます。
 そしてそのための資料としては、履歴書や職務経歴書だけでは不十分です。 

 また転職活動では他の人がさらに別の誰かにあなたのことを説明する場面が多くなります。
 自己紹介資料を作っておくことによってそのような場面で伝達ロスをなくして正確に伝わるようにすると同時に、伝達する側・される側の手間を減らすことができます。
 例えば転職エージェントが企業に自分を紹介してくれる時に、例えば企業の人事担当者から面接の担当者に申し送りをする時に、あなたの人物像が正確に伝わるかどうかは非常に重要です。

 多くの担当者は資料を読んでから面接に臨んでくれるので、その場合は面接の場での自己紹介を簡略化させて、より本質的な議論に時間を使うことができます。
 また就労条件や苦手なこと等ネガティブな材料も書いておくことによって、自分に合わない企業と面接をして時間を無駄にすることも防げます。

 とにかく無駄な時間を省き時間を有意義に使うために、初めに少しの手間をかけてこの自己紹介資料を作っておくことはとても有効です。

 私はこの資料をGoogleスライドにまとめた上で、全ての転職エージェントや紹介してくれる人にファイルのリンクを共有、企業の担当者にもそのまま共有してもらっていました。
 PDFで送るのではなくGoogleスライドにしたのは、途中でスライドを修正したり追加したりした際にも、最新の資料を見てもらえるようにしたかったからです。

 [私が作成した資料の構成]
 ・表紙(自分のキャッチコピー、連絡先、写真)
 ・経歴のまとめ(どの職場で何をやっていたか)
  ・各社、各ポジションで取り組んだ業務の内容と成果*
 ・仕事に求めるもの 今後の人生でどのような仕事がしたいか
 ・自分のスキルセット
 ・得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなこと
 ・退職の理由*
 ・転職先に求めること*
 ・仕事上の制約*
 ・転職活動のスケジュールと現状*

↓こちらが、実際に使用した資料の一部です

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 面接を重ねて同じことを聞かれるなと感じたら、随時ページを追加したり修正したりしていきました。
 *をつけたページは、面接の中で個別に説明せず、聞かれた場合にスライドを見せながら説明するようにしていました。

 希望年収は、資料の中には敢えて書きませんでした。
 自分のスキルをフルに活かして初めから活躍できるのか、ストレッチが必要だけれど自分のキャリアを大きく高められる仕事なのか、入社後に成果を出せばすぐに大きな昇給が見込めるのか否か等、企業とポジションによって妥当な年収が異なり、個別に交渉すべきだと考えたためです。

スライドのサンプルはこちら。適宜構成や内容を変更してご活用ください。

(2) 活動状況をまとめてエージェントに公開する

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 転職活動をしたことがある方ならご存知の通り、転職サイトに登録するとびっくりするくらい多くのエージェントや企業から連絡がきます。
 紹介の重複を避けてより自分に合った企業を紹介してもらうために、私は自分が紹介してもらった全ての企業をGoogleスプレッドシートに整理して、関わりのあるエージェントに公開していました。
 (秘匿性の高い案件の場合は企業名をイニシャルにするなどぼかす)

 面接をしたり書類を送ってもらったりした企業だけでなく、エージェントとの会話の中で社名が挙がった全ての社名をリストアップし、その企業について、ポジションについて、「何に魅力を感じるか」「何が懸念されるか」という所感を書き込んでおきました。

 自分が仕事に何を求めているか、どのような仕事がしたいか、については転職活動をする前に整理してスライドにまとめていたのですが、具体的に企業名やポジションを聞いてそれについてどう感じるかを記録して整理すると、よりそれがクリアになることが多かったです。
 また意欲あるエージェントの方は、リスト内の企業やそれに対する私の反応を読み込んで、より私にとって魅力的に映るであろう企業とポジションを紹介してくれました。

 もちろん自分の中で状況を整理し漏れなく各案件に対応するためにも効率的ですし、複数のエージェントから繰り返し同じ企業の同じポジションを紹介されるといった無駄も防げます。「今どんな状況ですか?」という問い合わせも少なくなります。

 スプレッドシートのテンプレートはこちら。こちらも、適宜項目を変更してご活用ください。

(3) 面接先企業と面接担当者を調べる

 転職活動において時間と労力をかけずに自分に合った企業を見つけるなら、一番重要なのはやはり企業についてより深く調べてから面接に臨み、無駄な面接をしないことでしょう。当たり前すぎて書くのを躊躇いましたが、漏れのないように念のため書いておきます。
 5分で合わないことがわかる企業もあれば、まる1日調べてようやく合っていないことが分かる企業もあります。合っていなさそうだと思ったらそこで終わらせれば良いだけです。
 下調べもせず何となく紹介された企業に面接に行って、面接開始後早々に自分に合わないと気づく、というのを繰り返すのは、自分に会った仕事を見つけるために遠回りなやり方です。

 転職エージェント経由でポジションを紹介してもらった場合、最も効率が良いのはまずは転職エージェントへのヒアリングです。
 どういう企業で、社長はどういう人か。経営層や社員にはどういう人がいるのか。何をやろうとしていて、どういう背景でこのポジションへの募集がかかったのか。何ができる、どのような人が求められているのか。自分はその企業に合いそうだと思うか?うまくいきそうな点は?懸念点は?自分のどのような点がその企業、そのポジションに合うと思って紹介してくれているのか?
 良いエージェントであればこれらについてきちんと説明してくれるはずです。
 募集ポジションへの理解がないエージェントはあなたに合った案件を適切に紹介してくれる可能性も低いので、早い段階で見切りをつけるのが良いと思います。逆にこれらを丁寧に説明してくれるエージェントとの付き合いは、大事にした方が良いでしょう。
 エージェント企業内で、候補者側の担当者と企業側の担当者が異なる場合は、できれば企業側の担当者から直接話を聞いた方がより詳しい話を聞けるでしょう。

 エージェントからの話を聞いてそこで活躍する自分にポジティブな印象を抱くことができたら、
 ・社長のインタビュー記事、企業業界×応募ポジションでの最近の動向の記事
 ・スタートアップであればwantedlyのフィードや社長のブログ、SNS、過去のプレスリリース
 ・大企業であれば新卒採用のwebサイト、上場企業であれば有価証券報告書など
 簡単に読めるもので初期リサーチを行い、
 さらにその企業、その業界に詳しい知り合いの話を聞いたり、関連する本を拾い読みしたりして知識を深めてから面接に臨みました。
 毎回これをやっていると、時間だけでなく書籍の購入代や有料記事の閲覧などで結構なお金もかかりますが、ここで自分に合わない企業に入社してしまうリスクや、より自分に合った企業に入社するリターンを考えると、惜しんでいる場合ではありません。
 ただし、過去のガイアの夜明けでの社長のインタビューを見るためにparaviに登録し、昔のドラマにハマってしまうという私のようなことは、効率的な転職活動のためには絶対に避けてください。

 やりすぎと言われるかもしれませんが、面接に臨むにあたっては面接担当者の方の名前も聞き、その方個人について公開記事等を調べたりもしました。

(4) 面接の日程調整は自動で済ませる

 転職活動中は自分の現職の予定を考慮しながら、複数の企業やエージェントと同時並行で日程調整を行う必要があります。
 候補の日程を提示して、相手からの可否の返信を待っていては面接の設定が遅くなります。
 自分のカレンダーを全公開して直接予定を入れてもらえば解決しますが、私の場合は秘匿性の高い案件もあり自分の管理用のカレンダーを見られたくなかったこと、自動返信によってオンライン面接のツールの調整までを一気に行いたかったことから、日程調整用のツールを使って調整しました。

 例えばeeasyだと、自分のgoogleカレンダーと連携させて面接枠の設定をしておけば、URLをずっと使い回すことができますし、無料アカウントでできる機能の範囲も広いです。
 https://eeasy.jp/

 もしかすると一部の企業や一部の担当者では、日程調整ツールのURLを送りつけられることに不快感を覚え怒られるケースもあるかもしれませんが、
 こういった効率的なツールに対して拒否反応を示すような企業、担当者とはいい仕事はできないと考えていたので恐れず送りつけるようにしていました。
 20社以上の企業とこれをやってみましたが、結局最後まで、それを怒られたところはありませんでした。(華麗にスルーして候補の日程が送られてきたことはあります)


(5) 面接も無駄なく進める

 面接の場まで設けてもらいながら、公開されている情報を延々と説明されているようではお互いに不毛です。
 企業やポジションについてある程度調べた上でこの場に臨んでいることを最初に伝え、最低限の説明と、非公開情報に絞って話してもらうようにしていました。
 自分についても同様に、相手が資料をどれくらい読んでくれているのかを初めに確認し、それについての説明は不要であることを伝えていました。自分が認識したその企業の良い部分、課題となる部分を相手に説明し、認識があっているかを確認する、というやり方がよかったように思います。
 ただし、事業に対する想いや人生に対する考え方を直接聞くことはとても大事なので、できるだけ引き出して聞くようにしていました。企業概要を聞くのとは違います。

 また面接の中でひと通りの話が済んだところで認識を確認するのは実は双方にとってとても良いことです。
 面接開始から15〜30分ほど経った時点で、「とても魅力的な企業ではあるけれど、●●という点で自分には合わないと思う、どうでしょう?」ということを伝えた企業がいくつかあります。
 それに同意してもらってそこで面接を終わらせた企業もありますし、懸念点を解消してもらってさらに次の面接に進んだ企業もあります。
 ただしその場で激怒されてお茶をかけられても、責任は取れません。


(6) 入社先を絞り込む

 企業について理解を深めた上で、そこで活躍する自分に対してポジティブな印象を持つことができた企業については、最も自分に適していると確信が持てなくても、全てそのまま面接を進めてもらっていました。
 複数の企業と話をしておくことに後ろめたさを覚えるかもしれませんが、そこしか選択肢がないという状況でネガティブな材料が出てきて仕方なくその企業を選ぶ、ということは避けたかったからです。

 内定が出始めたら、常にどこか1社の内定は回答保留状態にできるよう、スケジュールも調整しました。
 他の企業からの年収の提示を受けていることで妥当な年収水準を把握できますし、年収交渉もしやすくなります。

(7) 入社理由を整理する

入社理由

 最終的に入社を決めた企業については、内定承諾の返事をする前に、なぜその企業に入社するのかをまとめておきました。
 重要度の高いものから順に、13項目。
 入社後しばらくしてから認識通りだった部分、間違っていた部分を振り返って自分のあり方を見直せると思ったからです。これをやってよかったかどうかはまだ分かりませんが、前回の転職の際にもやっておくべきだった、という反省から来るものです。
 入社する企業のエージェントにも、辞退する企業のエージェントにもこれをそのまま伝えたので、どちらからも納得してもらうことができました。

最後に

 転職活動は多くの場合多忙な現職業務の合間を縫って進めなければいけないものです。そのため業務遂行能力が高い人であっても、その方法論を考えて体系的に進める余裕がないままになんとなく始め、なんとなく終わってしまうことがあるのではないでしょうか。
 あなたが次の仕事を一生続けるかどうかは分かりませんが、少なくともキャリアを大きく変えることができるという意味で、転職活動は人生を大きく左右するものであることは間違いありません。
 少しでも多くの人が、転職活動を戦略的・効率的に進め、より多くの人が自分に合った場所で活躍できるようになることを祈っています。


 今回の転職活動の中でお世話になったエージェントやVCの皆様、選考を進めていただいた企業の担当者の皆様、ありがとうございました。





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