青春ロスタイム (地平線をのぞむ 第5回)
今回は暗い話になってしまうが大事な話を書きたいと思うのでどうかお付き合い頂きたい。
私には一つコンプレックスがある。それが青春コンプレックスとでも呼ぶべきものだ。まともな青春を過ごした事がないというよりも、私の場合はより重症で中学から高校にかけての記憶がない。
双極性障害発症の原因でもある対人関係のストレスからその時期の記憶が欠けたり時系列がバラバラになってしまっている。さらに言えば寝込んでいた時期も長い。その事が私の中でどうしようもないコンプレックスになっている。
この影響は色々あるが青春とか、若さを売りにされるとモヤモヤするのが一番問題だ。青春ものの物語はかなりの割合で嫌いになったし、テレビなどで芸能人や歌手、スポーツ選手などの出てくる人が若さを売りに(弱冠何歳という表現とか学生であることをアピールしたりとか)すると苛立ってしまう。
そこには複雑な要因が絡み合っているが一つずつ紐解きたいと思う。
1.理想の青春への嫉妬
まず、青春を楽しめた人への嫉妬心が大きいだろう。
世間では青春は美しく楽しい物だと演出している。恋愛だったり、何かに打ち込んだりとそうした側面、いわゆるリア充的側面をやたらとアピールしてくる。
その時期をある種の虚無と共に過ごした私はどうしても自身と対比させてしまうのだ。
そうすると嫉妬心が沸いてくる。青春を知らない私は理想の青春を信じてしまう。信じる他ない。そうして理想の青春を見てしまう度に嫉妬心を覚えてしまうのだ。
2.いじめ加害者への苛立ち
私の対人関係トラブルとは簡潔に言うといじめである。いじめの被害者になってしまったのだ。詳しくは書かないが肉体的、精神的の両面からいじめられた。
このストレスから先ほどの記憶の欠落のほかに双極性障害の発症、対人恐怖など様々な問題を抱えている。
しかし、私は倒れるまでいじめられているという自覚がなかった。おそらく防衛本能がそこら辺を麻痺させていたのだろう。
数年経ってから初めて自覚した。そのため加害者たちは何のお咎めもなく青春を送ったのだろう。そのことへの怒りは心の奥で今も燻っている。私が苦しんでいる間に何故加害者は青春を楽しめたのか。
やり場のない苛立ちを青春は思い出させるから私は青春という概念が嫌いなのだ。
3.可能性を潰された感覚
メディアでは若くして成功した人がよく紹介される。学生だと尚更だ。そうしたものを売りにされると上記の二つから嫉妬心と苛立ちを覚えるがもう一つ覚えるのが可能性を潰されたような気持ちだ。
何かをするにあたって年数は重要だろう。その意味でロスタイムがある私はあと数年あれば何かを成し得たのではないかと考えてしまう。さらに双極性障害などの抱えてしまった問題が無ければとも妄想してしまうのだ。
もちろん、そんな訳ないとも考えるが、可能性が全く無かったとは言えない。実際、わずかな期間在籍した写真部は高文連全国常連校だった上にその短期間で賞を取ることが出来ている。では高校3年間しっかり学び、取り組めていたら全国大会まで行けたのでは・・・と考えてしまうし、可能性はあっただろう。その他にも何かしらの事ができたかもしれない。
学生時代の貴重な時間を潰された事実ともっと早く行動出来ていればと思う出来事の多さからどうしようもない怒りを感じてしまう。
4.不可逆な青春
そして、青春は基本的に高校生ぐらいのイメージで語られる期間限定のものだ。その不可逆で今更どうしようもないという事実がこれまで書いた苛立ちを増幅させる。手に入らない青春をどうしても渇望してしまうこの感情を私は一生引きずるのだろう。
青春コンプレックス
これらのことから私は青春嫌いを拗らせている。一つ言いたいのはいじめは絶対してはいけないという事だ。それは被害者を追い詰め、その人生を歪めてしまう。私も今回は恨みつらみの話になってしまっていると思っている。しかし、これ以上に、書く事が出来ないようなドス黒い感情が胸の内にあるのだ。
正直青春嫌いはその一部でしかない。どうしようもない負の感情が心の底で渦巻いている。
いつもの詩も実は、どちらかというと小学生ぐらいの記憶、もしくは空想の青春をもとに書いているのだ。やはり、憧れとかはあるのだろう。むしろ憧れがあるからこそ嫌いになってしまっている気がする。
世間ではキラキラとした青春が演出されているけれどそれで古傷を抉られるような気分になってしまう人がいる事をどうか覚えていて欲しい。
今回は大部分が恨み言になってしまったがどうかお許し頂ければと思う。それだけいじめというものは被害者にとって根が深いものなのだ。
夏という青春を象徴する季節が近づくなか、どうしても言っておきたくて筆をとらせて頂いた。次回はもっと明るい話題で行きたいと思うのでよろしくお願い致します。
地平線
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