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ドラムセットにおけるウォーミングアップ兼フィジカルトレーニング8選〜①〜

はじめに

スタジオに入っていきなり曲を叩いていませんか?
それは準備運動なしに練習試合を始めるのと同義だと考えております。
夏はまだしも、冬は怪我の元になります。

当方は約20年に渡りドラム講師として様々なレベルの生徒を見てきました。
そのレッスンを通してウォームアップやフィジカルトレーニングに有効だと感じた内容をまとめることにしました。
全レベル対象のメニューとなっております。
楽譜に書いてあることはシンプルな内容なのですが、
深く掘り下げることにより難易度が爆上がりする練習となっています。

ドラムの練習は、どれだけ速いテンポで叩けるようになったか?が上達の目安になることが多いようです。クリックで具体的な数字(速度)が表されていてわかりやすいがゆえに陥りやすい問題点です。
勿論速く打てるに越したことはありません。
速いテンポを叩けるということは、その動きの熟練度を測ることができます。
しかし我々はアスリートではありません。
そのテンポで脚を動かせること、腕を動かせることだけに満足していませんか?
スティックの先(チップ)まで意識をし、音を出す感覚がありますか?
速さだけを上達と考えている人は得手してスローテンポができない場合が多いような気がします。

ドラマーは表現者です。
体がどれだけ速く動いても、音が汚いとそれは雑音です。
雑音は人に不快感を与え、聞いてもらえません。
ドラムは速さと音質のどちらも要求される、体全体を使うアスリート要素とアーティスト要素が必要な特殊な楽器なのです。
最終的に出音がオーディエンスの耳に届けられる訳ですから、
体を速く動かすだけで汗をかき気分がスッキリするような練習にはあまり意味がありません。出音、フィジカルをバランスよく意識し練習メニューに取り組みましょう。
こちらでは添付の楽譜練習に取り組む上での考慮すべき点を解説していきます。
楽譜に網羅できなかったアドバイスを書いていきますのでご一読いただき、深めてください。ドラム力の底上げが実現されることでしょう。

①ボース

是非とも取り組んでいただきたい練習です。
ウォームアップ、筋トレの要素が含まれた練習でもあります。
他7選の練習は時間的にできなくても、これだけはやっておいてほしい、おすすめの練習です。
スローテンポ♩=40から始めると体軸のブレがはっきりとわかります。
上体が反らないように注意してください。

上体が反ると何がいけないのか?
重心が自分の体の外に存在する事になりますので、腰に多大な負担がかかり痛めます。

1.腰を落とし、2.胸を張る、3.背骨のS字カーブを意識する

それでも上体が反ると言う場合の確認点は

4.椅子の位置がドラムセットに近づき過ぎていないか?
5.バスドラを踏む際、前に蹴っていないか?
6.脚の付け根、太もも、膝のどれかを起点に脚を上げていないか?
と言うことが考えられます。

キックは太ももを使って踏む下方向の力ではなく、
足首を起点にジャンプする上方向の力を意識することです。
そもそもペダルは踏むものではありません
足首でジャンプし(このときに音はなりません。その際、ペダルプレートから親指の付け根、母趾球が離れないように注意すること。プレート自体に鼻緒がついていてそこに脚を入れているようなイメージ)
重力によって脚が自然に落ち、ペダルが踏まれることにより音が鳴る。
自分の力を使うのはジャンプする時のみ。このジャンプのタイミングでリズムをとるのです。

ペダルから母趾球を離さないのはペダルのバネの張力を最大限使うためです。
重力に従って素直に脚を落とし、ペダルのバネの張力をうまく使えば、小さな動きでも、また小柄な人でも大きな音を出すことができます。
バネを利用する方法はここでは割愛させていただきます。

そうしてできた両脚のリズムに両腕を添えていくのですが、
ここでなぜ5センチ以内と指定したかというと、

①両脚につられて両腕の振りが大きくなってしまう。四肢の分離の前によりシンプルに上半身と下半身のコントロール、分離を計りたい。

②両腕を小さくコントロールすることで、4点が同時に鳴っているか確認しやすくなる。(振るタイミングではなく、耳を使って音を合わせてください。)

勿論両腕も打つ方向(下方向)に意識をするのではなく、楽器から音を引き出す、スティックの先に音を絡め取り、上方向へ軽く投げるような感じでイメージしてください。

ウォームアップ時に毎回同じ練習を同じテンポからスタートさせることにより、その日の調子、セッティングの違和感などが自然にわかるようになります。
徐々にテンポを速くしていくのですが、限界近くなった時でも上記のことをおざなりにしないように取り組んでください。
♩=160ができる様になると、両脚については演奏する上で必要な筋肉量が十分確保できたと言っても良いでしょう。
細かい動きの練習は別途必要ですが、細かい動きに対応できるだけの筋肉は付けられたと思っていただいて大丈夫です。

〜②〜へ続きます。


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