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ミュージカル二題

先日、ありがたいことにお誘いを頂いて、とぱーずさんとミュージカル『Grease』を観に行った。

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ジョン・トラボルタ出演の映画すら観たことはなく、wikiで簡単にストーリーだけ予習して臨んだのだが、いざ観てみるといくつか知っているナンバーがあることに気づく。バーバーショップを通じて英語圏のアンセム的名曲を聴くようにしていたことが、ここにきて功を奏したわけだ(出典を知らないあたりは片手落ちと言うほかないが……)。

内容としてはそんなに共感できるとかとか泣けるとかいうものではなかったが、御機嫌なダンスと音楽とで終始観ていて楽しい舞台だった。生のバンドで音楽を聴くのも久々で、それも嬉しかった。

若者(というかいわゆるヤンキー)たちの、ある意味でその日その日でやりたいことをひたすら楽しむという姿勢も、リアルではあんまり目にしたくないけれども、作品の中では輝いて見える。少なくとも今の若者には見出しにくくなった青春の光ではないか。


彼らの毎日は輝いている反面、底抜けに無責任でもある。それが自分の将来についてであればまだよかろうものだが、「オンナ」に向けられるととたんに悲哀を伴う。これが僕の視点から哀しく感じられるというのも、あるいは時代の変化によるものかもしれないが。

というか、これがミュージカルだから明るい(?)テイストで済んでいるのであって、性質上よりリアルに近い小説とか映画であったら、『太陽の季節』みたいなどうしようもない展開になってしまいがちな気もする。御幣を恐れずに言えば、ミュージカルというのは音楽とダンスとによって、ご都合主義をそう見えなくする効果が強いと思う。



先週、たまたま時間が空いたので、ディズニー・ピクサーの『ミラベルと魔法だらけの家』を観てきた。封切日朝イチでの映画館はガラガラだった。

ディズニーのミュージカルならば間違いクオリティだろうと思って行ったのだが、やはり音楽も映像も素晴らしかった。人物紹介を兼ねた冒頭1曲目の「ふしぎなマドリガル家」からしてすでに期待を上回る楽しさで、一気に作品世界に引き込まれてしまった。

今回僕が行った館では吹き替えしかかかっておらず、声優の面々は分かるものの、声を当てている"芸能人"はほとんど知らない人だった(エンドロールで「3時のヒロイン」と出たのを見、「お笑いコンビかなにかだろうか」と観終わってからわざわざ検索するくらいには世情に疎い)のだが、これは案外よかった。

ふだんなら英語耳の補強もかねて字幕しか観ないけれども、本作はヒスパニック系の文化に根差している設定のようで、どうも原語だとスペイン訛りのある英語らしい。
日本語のセリフ中にスペイン語の単語が混ざってくるのは違和感が強く、その点では英語で見た方が本来の味わいを楽しめそうだが、スペイン訛りだとそもそも英語が聞き取れない可能性も高いので、まあ"それぞれ"である。

ストーリー的には、まだ納得のいっていないところというか考察を深めなくてはいけない要素が、僕としては多分に残っていた。ともすれば、ヒスパニック文化(あるいはラテン文化)に明るくないからわからないこともあったのかもしれない。
フィクションなのであまり生真面目なことを言ったって仕方ないのは確かだが、「アレはいったいどういう意味だったのだろう」と考えるのは、作品をしっかり楽しむうえでは重要なことだ。

もう1回くらい、今度は字幕で観る機会があったらいいなと思う。良作。



以前『ラ・ラ・ランド』が流行ったとき、僕はちょうど日本におらず、帰りの飛行機でようやく観ることができたのだけど、どこかの口コミで「話の途中で突然歌ったり踊ったりし始めるので面食らう」みたいなのを目にしたときはちょっと面白かった。

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まあこれはミュージカル映画だから「そういうもんだよ」で終わりだが、そうでないふつうのアニメとかで散見される「(謎)ミュージカルパート」みたいなのも、僕は意外と好きで、たとえば『劇場版 SHIROBAKO』の音楽は作りこまれていて非常に良かった。

にもかかわらずミュージカルの知識が貧困であるというのは、ちょっとちぐはぐだ。公開が近づいている『ウエスト・サイド・ストーリー』はもちろん楽しみにしているし、『Grease』の映画版も含め、往年の名作を少しづつ観ていくことにしたい。

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