五月雨くんと犬


五月雨くんは実は犬が苦手。
この前一緒に歩いていたら、向こう側から散歩中の白い大きな犬がやってきた。

「!」

五月雨くんははっと身体を固まらせると、ぼくの右側から壁寄りの左側に動いた。

「かわいいよ、」
「でも大きいじゃないか!」
「小さくてもこわいくせに。」

ぼくがふふっと笑うと、ムッとした顔をした。
五月雨くんはぼくよりずっと背が高いのに、ぼくの身体に隠れるように小さくなって白い犬とすれ違う。

「あーこわかった。」
「近づかなければ何もしないよ?」
「するよ!」

五月雨くんはいやぁな顔をしながら、おそるおそる後ろを振り返る。

「犬はさ、あの、ぶるぶるるって水しぶきをあたりかまわず思いっきり飛ばすのがいや。デリカシーが感じられない。」



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