ヒトデ


ポストを開けると、乾燥したヒトデが入っていた。
手のひらサイズの青緑色したやつだ。
なんだかわからないが、郵便物とともに部屋に持ち帰る。
酒のつまみにひっくり返したりして眺める。
水でもかけたら乾燥は元の通りになるのだろうかと、とりあえず手元にあった酒をたらしてみた。
ヒトデはシュワシュワと音を立てて、少しだけ色が明るくなったような気がした。
面白くなり、もう少しもう少しと酒を浴びせていると、その度に色が明るくなっていく。
明るくなると重力も軽くなるらしく、今ではテーブルから1cmくらい浮いている。
最後の一滴をたらすと、ヒトデはクルクルと回りだした。
空中を浮遊するようになり、家の中をフラフラと飛び回る。
アルコールのせいか、ガツンガツンとあちこちの壁にぶつかっていた。
ベランダの方へ近づいていったので窓を開けてやる。
外へ出ると新しい空気で急に元気がよくなったようだ。
回る勢いも早くなり、回れば回るほど光を発するようになった。
そうしてその乾燥ヒトデだったものは、クルクルクルと光を撒き散らしながら夜空へと上っていった。
あれは星になりたかったのだろうか。


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2020/08/25放送 chigusaの庭より


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