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老後のデラックス松ぼっくり:0086


葉っぱが落ちきる前に、友人と公園まで紅葉狩りに行った。

ここ2週間で気温が下がり、イチョウもモミジもすっかり色づいている。
マスクをずらして空気を吸う。
冷たく乾いていて、自然がゆっくり枯れていく香りだ。


公園の名所はイチョウ並木だ。
写真部の学生がカメラを構えていたり、女性数人が記念撮影していたり。
小さな子どもが金色の落ち葉をかきあげる。ひらひら舞っていくのを、二人の親が目を細めて見ている。

隣に立つ友達が、来てよかったなぁ、とぼそっと呟いたのが聞こえた。
珍しく素直な物言いをする友人に胸がいっぱいになる。

そのくせ、帰り際に
「こんな公園でのんびり歩いて暇を潰すなんて、老後みたいだな」
 なんて言うので、やっぱりこいつらしいとも思った。
「老後の休日で終えてもいいけど。そんなら、デラックス松ぼっくり探そうぜ」

そこから二人で、暗くなるまでデラックス松ぼっくりを探した。より大きくて松笠が立派な方がデラックス松ぼっくりだ。
まだ時期ではなかったのか、ふにゃふにゃした傘の開ききってない松ぼっくりしか落ちていなかった。
土産物はなかったけど、楽しい休日を過ごした。


#日記 #イチョウ #紅葉狩り #散歩 #紅葉前線レポート

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