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味読感想9【カカオ%チョコレート食べ比べ】:0024

2022/02/14、添削して再投稿。

不〇家さんのL〇OKに、4種類のカカオ分の違いを楽しむチョコレートがあるのですが、一番ビターなハイカカオから%を減らして食べていくのと、甘いミルクから%上げるのとでだいぶ味が変わるんですよね。
全体としては切なさや葛藤の混じるビターさであるけど、割と甘くもある。

短編一つひとつをどの順番で味わうか面白くもあり、また今回は一筋縄ではいかない心の揺れも感じて、ジョー・力一という道化をより深く解釈したくなったお話でした。


星新一のような不思議系ショートショートのように感じたので、装丁風のファンアートを描きました。

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(ファンアート:はぐ田ちぐら)


 短編と中編のお話をより混ぜた、聞き比べのできるボイスというでしたね。

(実は毎回、各trackの合間の空白の時間が違って聞こえるのですが、そこも考えて作られているのでしょうか?あめもよう2020は小説の朗読のようで、ひとつづきに聞こえていました。今回は特に、ショートショートの一話完結感が出ていてとても聞きやすい秒数でした。)




以下、各track毎のネタバレ感想です。




track3:70%ハイカカオ


「あなた」さん、仕事終わりのピエロに突撃。

今回の「あなた」さんめっちゃ不器用ですね。思いの丈が極まっちゃったんでしょうね。本命を渡す、バレンタインだから。


こういう経験は僕はした事はないけれど、たまにつぶやきにリプなんか送って「あれはクソリプだった…」とむっちゃ後悔する時をふと思い出しました。人間関係っていたたまれなくなる時ってどうしてもありますね。幸いまだブロックされてなくてありがたいし、反省して出来るだけ次に活かそうと思います。

「あなた」さんに対して、力ちゃんの困ったり悩んだりする感情の揺れ動きがまた、人間臭くてすごい好きなんですね。

※もちろん実際できるかどうかは別として、リアル突撃なんて怖いなぁという意見もあるかと思います。でも力一さんが設定した舞台上での事だし、track6でピエロがお返ししてきたホラー感によって奇妙なファンタジーに仕上がっていると感じました。




track4:40%ビター


今回一番好きなtrackです。外郎売(もしくはバナナの叩き売り)、バレンタインチョコスタイル。
チョコレート売りの力ちゃん、立て板に水のようにさらさら口上を述べる。けれども最後の言葉でひっかかり、言いよどんでしまう。

この商品、僕の解釈では力ちゃんはノリに乗った口上を披露するものの、心から信じて言った言葉でないものが含まれている気がしました。

そもそもピエロって夢も与えるけど、ある程度の嘘もつく必要のあるお仕事なのかとも思います。
で、個人の解釈で申し訳ないんですけど、力ちゃんというキャラは、夢は与えるのは上手いのだけれど、自分の心が揺らぐ本心でないことば…ある種の『嘘』をつくのは苦手だと感じました。

「必ず伝わる」のところとか、相手に夢を与える必要のあるところで、自分の心が伴い切れず言い淀んでしまう。

華やかな夢を与える一方で心が信じきれない言葉を語るときの、胸にたまる苦さとか後ろめたさが切ない。

ただ、どうしても本心でないことを言う必要があったとき、苦いと思える気持ちを持ち続けることや、『噓』をついている自覚とバランス感覚を失わないことは、できる人は少ないし尊いことだなぁと思いました。

ある程度嘘をつくことは割り切っていいものだと思うけど、ついている自覚は必要だと思っていて。一番だましやすい相手って自分だったりするから。

一方、チョコを買う側の視点で考えてみた時、受け手の捉え方なんて人それぞれで、自分の都合に合わせて夢をもらってると思います。

その夢に夢中になってる時間が、どう人生を彩るかはその人次第だろうけど、少なくとも無駄な時間ではない…と僕は信じているし、祈っています。



track5:55%ダーク


ラジオでの恋愛相談。ここの語り口は文学的ですね。だらんとした雑談でなくて、ジャズとかお洒落な曲が流れてそう。
僕は2月にこれを聞いた時、ちょっとお洒落過ぎて噓っぽい感じがして笑ってしまいました。ごめんなさい。

今改めて聞くと、今年の6月から始まったラジオ『深夜32時』がこの雰囲気に近いです。下ネタもお洒落な返しも華麗にこなせる人ですね。

 

 寄り添うけど背中を押したりはしない空気感が、力ちゃんの恋愛観と相まって穏やかな空気を醸していますね。

嘘はつかないけど、あえて語りもしない。切なく渋みもあるけど口に残らず雪のようにほどける甘さでした。

track5で、こうした大人な関係を書き上げたというのに…なぜにtrack6で振り切れてしまったのか?

 連続して聞いたからこその振り切れ具合がすごくて「あれぇ〜〜???」って首をかしげてしまいました。





track6:27%ミルク

track3から伝えられなかった思いを伝えるために、力ちゃんが「あなた」さんの元へとやってきました。

しかし、どうもいつもの力ちゃんと様子が違います…。


3では素の(雑談枠などで一人でくっちゃべってる感じの)力ちゃんだったのが、6では道化師の「ジョー・力一」が憑依している感じがひしひしあります。立ち絵でいうと白スーツからシルクハットの新衣装に変貌したくらい違ってみえる。関係ないけど、もしこの衣装で夜道に出会ったら、僕だったら裸足で逃げ出しますね。



そして力ちゃんなりのプレゼント。不器用を不器用で返してきましたね。おそらく2mくらいのでっかい奴ですよ。どっから出したんだよ、ってツッコミたい。

でもここがすごく甘さを感じたシーンでしたね。

無数の人たちに渡す愛情を一人に、それを本命という辺り、半端なくロマンチックだなぁと思いました。

ただそれを一人に注ぐって、受け取れるかどうかを試されてる気もします。ここは視聴者に投げかけてる感があり、「あなた」さんでなく僕だったらどう返すだろう、と後述で妄想してみました。


(ただこのシーンは思いっきりホラーとの評判で、少し自己分析してみたんですが、…おそらく僕にとってのロマンって「チョコ食い放題」というシチュエーションだったかもしれません。基本食べることだけを考えて生きている人間の発想です。

…でもね。僕が子供の頃って、地元で買える一番お洒落なチョコがチロルチョコだったんですよ。チョコの滝なんて夢のまた夢。そんなもんあげるなんて言われたらね、そりゃあ食らいつきますよ!)


ここで道化の仮面を被ってしまったというのが…素の状態ではどうしても伝えられなかった、力ちゃんの臆病さを感じました。そうした人間の弱さって誰しも持っているかと思います。

今回のボイスは「心が揺れた時に滲み出る柔らかな感情」と「伝えなかった事、濁してしまった事、語らなかった空白」というのがテーマに感じてとても味わい深かったです。


何はともあれ、今回も僕にとっては楽しい作品でした。なんていうか、脚本や演技を通して色んな表情を見てみたいんですよ。垣間見える一面が本質だと言うつもりはないけど、弱かったりブレてたり矛盾してたりするところがね、100%真実でもないし、でも、100%嘘でもないんだよね。嘘をついているとこと本音のとことが混ざり合っている。そして、どう信じるかは観測者の自由。やっぱり役者みたいに感じるし、ピエロだなぁって思うんです。



…最後に、もしこれ自分に贈られたらどうするかな‥?と妄想を膨らませました。(以下、妄想語りです。)



自分だったらどうするか妄想


この奇天烈な状況で本当に言えるかは分からないけど、できる限りなけなしの勇気を振り絞って「じゃあ、一緒に食べましょーよ」と言いたい。めっちゃ怖いけど。(怖いのはホラーだから、というのもありますが、こういう事を言うのは緊張するだろうし、これで断られたらめっちゃ凹むだろうからです。)



絶対一人じゃ食べ切れないんですよ。でも二人なら食べきれるかもしれないじゃないですか。本当は友達とか呼んで頭数増やしたら食べ切れると思う。でもこれがそういう話じゃない事くらいは恋愛IQが毛虫をつついてる5歳児の僕でも分かります。

一人で食べるよりは一緒に食べた方が美味しいですよ。これは。

食べ切れないとしても「二人で食べ切れないなら一人でも無理っすよ」って言い訳できるし。とんちみたいですみません。


どうせなら、お店でやったら一発で出禁になる食べ方したいですね。「流石にその食い方はねーよ」とか怒られるかもしれないけど、そしたら謝ります。


 あと、二人ぼっちだとあんま盛り上がらないだろうけど、チョコにかけるフルーツ諸々でドラフト会議をしたいです。
イチゴとパインはどんな手を使ってでもほしいけれど、酸味強い打線だからクッキー系も確実に抑えたい。どのタイミングでクッキーをスカウトするかにかかってきますね。

(もう一回書くけど、基本食べることだけを考えて生きている人間の発想です。)


おそらくこのボイス上のシャイな「あなた」さんは言わないでしょう。あくまで妄想です。


でも、これって「一緒に食べましょう」というお願いは既に叶っているんですよね。
活動している限りは、リスナーとして関わって遊びみたいなことができる機会もあるという事だから。

最近は「深夜32時」も始まり、おたより等で関われる機会もまた増えてくれました。

まあだから、たまにはおたより書いたり、配信に遊びに行けたらいいですね。関われるうちは関わってはいたいです。


(おたより送るとか前書いてたけど、ここは書き直しました。僕はどうやら、ひとつの事を1000字以上で深掘りはできるけど、ネタを10個考える系の能力を持ってない事が分かったので、口だけでごめんなさい!

そういう力がないって認めるのにすごく悔しかったけど、番組はリスナーの皆さんに託します。配信たまに遊びに行けたら、チャットなどで盛り上げたいかと思います。)



自由研究をしないと死んでしまう性分なので、不思議だな・面白いな、と思ったことに使わせていただきます。よろしくお願いします。