◇あらすじって、難しい

小説でも漫画でも映画でもいいのですが、その作品を見るかどうか決める際、あらすじに目を通す方は多いんじゃないでしょうか。作者買いとか表紙買いとか出演者目当てとかもあるとは思うんですけど……。
そして、あらすじから想像していた物語と、実際の作品が、結構ズレていて戸惑った経験もあったりしませんか。わたしはあります。
ズレていたって面白いものは面白いし、想定通りだって合わないものは合わないんですけどね。

レビューなんかを見ていても、想定と実物のズレがあったんだな、と伺えるものは割りとあります。ご本人が自覚している場合もあれば、気付かないまま首をひねっている場合もある。
時には、攻撃的なコメントもあります。期待を裏切られた、そんな気持ちが強く出てしまったのでしょうか。

でも実際、限られた文字数で物語の概要を伝えるのは、なかなか難しいことですよね。特に文庫本の裏やカバー折り返しなど、わずかなスペースの限られた文字数では、省かざるを得ない要素もきっと多いでしょうから。

わたし自身、作品の紹介や感想の中であらすじを書いたりしますが、これがなかなか頭を使う。
公式ページを見てくれ!でもいいんですが、クリックなりタップなりって結構な面倒で、興味がなければ開いてもらえないものなんですよね。だから文中で触れておくというのもあるし、自分の言葉でまとめたいというワガママもあったりする。

あらすじを書くとき、何に触れるか?より、どれを削るか?が圧倒的に難しい気がします。
文字数の関係もありますが、話の筋を語るだけなら不要な情報もあるからなんですよね。つい、詳しく書かなければ伝わらない気がして詰め込みたくなりますが、却って分かりにくくなることもある。
かといって省略しすぎると、イメージが湧きにくかったり、異なる印象を抱かせたりしてしまう。
この辺のさじ加減が、未だに分かりません。

これは昨日書いた感想。

あらすじに触れる際、「この物語の舞台は鎌倉。」から入りました。しかし主人公は最初から鎌倉にいたわけではありません。茨城の実家にいて、勤め先の倒産や彼自身の事情によりいわばニート生活をしている。そこへ、叔母が相続した鎌倉の家に住まないかという話が来た、という経緯がある。
勤め先の倒産や彼自身の事情は、物語で重要な部分です。でも、あらすじで語るには深すぎる内容かな、という印象があった。ならば省くべきか。
書き出しからもう、すごく悩んだんです。こんな感じで。

他にも、いきなり「若宮氷雨」と主人公の名前を入れてしまったけれど、読み方くらい書いたほうが良かったんだろうか?とか。
「TOWA」の説明を、単にヒューマノイドとするか、「人に近づきすぎた機械」と公式の表現に則るか、とか。
依頼人の男について、名前や素性を書いたほうが良いのか、とか。
とにかく、迷いました。考えました。

感想の部分でも、「お向かいさんの姪っ子・萌ちゃん」の表現に困ったり。これだと年齢がわからないな、でも「4歳児・萌ちゃん」だと関係性が見えてこないな、そもそも「お向かいさんの姪っ子」も事情が伝わりにくいのでは。
ぐるぐる、考えは巡ります。結局、「お向かいさんの姪っ子」にしました。

これからも感想を綴ったり、作品の紹介をしたりという機会はあると思います。そういうことを、していきたいと思っている。となると、当然あらすじも書くことになる。
世の中のあらすじがどんな風にまとめられているか、自分ならばどうまとめるか。考え、実践していくと良いのかもしれません。単純に要約の練習にもなりそうですしね。