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映画『怪物』(6/25鑑賞)

これは凄かった……。
靴を片方なくす、水筒から泥、“豚の脳”云々の奇妙な問い。息子の不可解な点に担任教師が絡むと知った母は、学校へと赴く。やがてメディアが報じる大きな事態に。
元凶たる人物=怪物は誰か? のつもりでいたら、そうじゃない。

物語はじつに多面的に描かれるんです。母、担任、教師陣、生徒たち、当の子ども。見つめる視点が増えると、物事も人物も新たな像を結ぶ。時には極端に翻ることもあった。
表に出たほんの一面、たった一点で判断される事が、いかに多いのか。
見えない部分の多さを、その理解の難しさを思い知る。

“子ども二人のケンカ”として表れたその内側に、どれほどの事柄が積み重なり、いかなる要素が絡み合い、核心を覆い隠してしまったのか……物語の進行とともに深く、深く近づいてゆく感覚がありました。それは当初まったく想像し得なかったもの。

各々に何か守ろうとしているのも印象的だった。
それが別のもの(時にそのもの)を攻撃したり、傷付けたりしてしまう一面があることも。悪意も自覚もない場合だってある。大切な存在のためだったり、己の役割と信じるゆえだったりもする。

様々な視点から、時系列を行き来して描かれるのに、混乱なく繋がってゆくのも見事。
凄いものを観たな……


映画『怪物』予告映像


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