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映画『緑の夜』(1/21鑑賞)

息の詰まる抑圧の中、逃走する彼女たちの進む先と紡がれる関係に注視せずにはいられない作品でした。
韓国人夫からDVを受ける中国出身の女性ジン・シャは、交際相手の指示で薬物の運び屋をさせられる“緑の髪の女”と、共に逃げるハメに。

当初は巻き込まれる形だったジン・シャ。“緑の髪の女”と交わすものや共有することが増え、自ら選択し行動することも出てくる。姉妹のような、親友のような、或いはそれ以上に親密な間柄のような二人の様子に心惹かれていく。

でも、彼女たちを取り巻く環境が露になるほどに息苦しくなるんです。

二人に向けられる「許してやる」の言葉。まるで“おいた”をした子供かペットを相手するような態度。それぞれのパートナーだけでなく、逃走劇で出会う男たちに、さらにはそれ以前から、彼女たちは下に見られ、いいように扱われ、押し込められてきた。

逃走の中で二人は犯罪行為に手を染めることもある。
でも、そうまでしないと――そうしたとしても、前へと進むことは、自由を手にすることは難しいのだと感じてしまう。決して二人の環境が特殊なのではなく、時代も場所も越え、繰り返されてきたもの。

濃い闇の中で、触れ合う彼女たちの鮮やかさと、駆けてゆくジン・シャの姿が印象を刻む映画でした。

『緑の夜』予告編


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