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映画『高速道路家族』(5/13鑑賞)

家族とは。幸せとは。どうすれば良かったのか。渦巻く感情と問いにずしりと来た作品でした。
サービスエリアを転々とし、利用客から借りた金で食いつなぐ四人一家。彼らに再び遭遇した女性の通報で父は警察に、母子は彼女が世話をすることに。

騙し取った金で生活し、子供を学校にも行かせないで! という憤りもたしかに湧く。でも、どんな経緯や理由があったのかという疑問も浮かぶ。
事情が見えてくるにつれ、必要な支援が届かずに来てしまった印象を受けた。人との深い関わりを避ける生き方には訳があり、故に社会から遠ざかったような。

引き取られた母子はあたたかな処遇を受ける。食事や寝床の提供に加え、姉は文字を習い、弟は玩具を買ってもらい。母はそのお返しにと、女性の中古家具店を手伝うようになる。
一時的でない、深まってゆく関係が生まれるんです。希望も。
苦境だろうと家族がバラバラにならず生きてきた今までと、どちらが果たして幸せか。母の選択は、子供たちの望みは。

一方で独り残された父は、家族を求めて行動する。けれど極限の状態に置かれ、追い打ちをかける事態さえ起こって。
対極的な色が濃くなるほどに、増していく不穏さに震えた。
観終わってからも色々と考えてしまってやまない映画でした。


映画『高速道路家族』予告

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