感慨をかえせ!
ああ、他人さまにはどうでもいいけど、記録しておきたいこと、もうひとつあった。
子ども6歳娘、保育園の卒園式も終わって、保育園の登園の最後の日の記録。
この日は雨。結構な雨。なんでやねん。こんな日に限って。
子どもの保育園の最後の日には、最後の通学の道すがら、この道を子どもを後ろに乗せて自転車で走るのも今日で最後なのね、なんて感慨と感涙をなんとなく想像していた、卒園までの日々。
そりゃ4年もほぼ毎日せっせと送り迎えして、通った道ですし。ホロっともくるだろうと、保育園最後の日に向けて、ジワジワせまりくる、この胸のなかの切なさに追いつかれないようにしてすごしていたよ、わたしは。
そう、そして、保育園最後の日の朝。
外は雨。結構な。
なんでやねん!
どのくらいの雨って、カッパの上半身だけかぶるポンチョ式のものじゃ、下半身の衣類はしぼれるくらいにびしょびしょになるくらい。カッパの上着だけでなく、カッパズボンも着て、長靴を履き、頭はキャップをかぶってからカッパのフードをかぶる。マスクをしたら、身体の中で外に接しているのは、目の周囲だけ。
キャップをかぶってから重ねてフードをかぶると、フードがしっかり顔のしずくから守ってくれるので、激しい雨の時は、インキャップ、オンカッパのフードがオススメだ!きらん!
じゃねーよ!
そのくらい完全装備していかないと、ダメなくらいの雨。そう、保育園最終日に。先生にあげる2箱も買ったお菓子の詰めおりも、百均のデカデカビニールバックのなかのわたしの通勤の荷物、子どものリュックとともに紙袋がクチャっとなって押し込まれた。とさ、とほほ。
いざ、出発したら、雨風すごくて、転ばないように、マンホールに足をとられないように、視界が悪くて、突っ込んでくる、人や車や自転車に気をつけて集中して、子どもを後ろに乗っけた自転車を走らせる。
身の安全が第一だ。そこに、最後の日だーなんて感慨は1ミリもなかった。
無事子どもを保育園に届けて、先生にクチャっとした紙袋に入った菓子折りも届けて、次々にくる、びしょびしょの親と子どもの列に気を遣ってしまい、早く交代してあげなくちゃと、これ!先生!たべてください!と押し付けるようにわたした。
本当は、紙袋から出して、菓子折りを両手に持ち、中身を渡してから、紙袋は使うなら、そちらも渡し、その時、シナっと挨拶して、みなさんで、と渡すはずだった。帰りのお別れの時にね。
いろいろ考えた結果、お迎えの時間ではなく、朝渡すのがいいだろうと、持ってきたんだ。結果、こうなるよね、あー、最悪。やっつけ菓子折り。最悪。
先生ごめんね、雑になってしまって。後悔ばかりだ。
でも仕方ない。そんなこともあるある。気を取り直して、また雨風の中、自転車をこいで、ただ事故らないようにだけ集中して無心で。
保育園から自転車で15分離れたところにある職場に着いて、制服に着替えると、すでに仕事の準備を整えて椅子にゆったり腰かけていた上司に愚痴る。
今日、保育園最後の登園の日で、もちろん、この道も走るの最後かー、なんてちょっとうるっときちゃうのかな、なんて考えていたんですけど、まさか、こんな雨で。感慨もくそもなかったですよ。と真顔で訴えた。
上司はおっとりと、笑った。
もっと、こう、リアクションくれ!
昇華できん!
気持ちをすんって切り替えて、同調してもらうのを諦めた。もう、すぐ仕事モードじゃ。
後日、ダブルワークで入ったもうひとつの職場の飲み会で、このネタを疲労し、笑いをとったので、やっとこの件は昇華した。
わたしの素敵な最後の登園の感慨をかえせ!
でも、おかげで、忘れられない、語り草になった保育園最後の日の朝だった。
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